Description of a work (作品の解説)
2006/06/17掲載
Work figure (作品図)
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マグダラのマリア

 (Maria Maddalena) 1477年頃
152×49cm | テンペラ・板 | アムステルダム国立美術館

15世紀ヴェネツィア派において、類稀な存在感を示す画家カルロ・クリヴェッリ中期の代表作『マグダラのマリア』。現在のところ詳細は不明であるが、おそらくは祭壇画を構成するパネルのひとつとして描かれた作品であると推測される本作は、主イエスの御足に香油を塗り自らの髪の毛でそれを拭ったとされる聖女で、姉マルタと共に主イエスが起こした弟ラザロの蘇生の奇蹟を目撃したマリアや、娼婦に身を堕とし石打の刑に処されるところを「あなた方の中で罪の無き者が最初に石を投げよ」とイエスの言葉によって救われた娼婦マリア、悪霊に憑かれた病を主イエスによって癒された「マグダラの女」などと混同される、≪マグダラのマリア≫の単身像である。本作の華やかで豪壮な装飾や、流麗で黄金色を多用した衣服・頭髪のほか、マグダラのマリアの聖女としての聖性や気高さを感じられる鋭謐的な表情の描写などに後期ゴシック的な特徴を示す古典技法を用いながら、カルロ・クリヴェッリの特徴である金属的で硬質な線描によって他の画家の作品からは見られない画家独特の表現が随所に示されている。磔刑に処さ死した神の子イエスを見守り、埋葬に付き添うほか、その三日後に主イエスの復活を目撃した最初の人物である逸話でも知られる≪マグダラのマリア≫は1969年まで「罪深い女」の象徴として扱われるも、同年開かれた世界五大陸から聖職者が集まった初の公会議「第2ヴァティカン公会議」を受け、カトリック教会がマグダラのマリアの聖性と地位や混同される逸話の見直しが始まったほか、異説ではあるが一部からは主イエスと結婚し娘サラを授かったとする説も唱えられている。


【全体図】
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気高さが感じられるマグダラのマリアの表情。現在のところ詳細は不明であるが、おそらくは祭壇画を構成するパネルのひとつとして描かれた作品であると推測される本作には、主イエスの御足に香油を塗り自らの髪の毛でそれを拭ったとされる≪マグダラのマリア≫が描かれている。



【高貴なマグダラのマリアの表情】
流麗で黄金色を多用した衣服。華やかで豪壮な装飾や、流麗で黄金色を多用した衣服・頭髪のほか、マグダラのマリアの聖女としての聖性や気高さを感じられる鋭謐的な表情の描写などに後期ゴシック的な特徴を示す古典技法が用いられている。



【流麗で黄金色を多用した衣服】
カルロ・クリヴェッリの特徴である金属的で硬質な線描。≪マグダラのマリア≫は1969年まで「罪深い女」の象徴として扱われるも、カトリック教会によってマグダラのマリアの聖性と地位や混同される逸話の見直しが始まったほか、一部からは主イエスと結婚し娘サラを授かっていたとする説が唱えられている。



【画家の特徴である金属的で硬質な線描】

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