Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
■ 

岩窟の聖母 ナショナル・ギャラリー版


(Virgin of the Rocks) 1495-1508年
189×120cm | 油彩・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ルーヴル版が当時のフランス王ルイ12世に献上されたため、改めてサン・フランチェスコ・グランデ聖堂へ納められた作品となったのが本作『岩窟の聖母』。本祭壇画はレオナルドが描いた最も重要な中央部分(本作部分)とその開口戸となる両脇部分から構成され、その両脇部分はデ・プレディス兄弟が担当しており、本作のやや硬質的な表現手法や明暗対比の大きい暗中の陰影表現などから、構図はルーヴル版とほぼ同じであるが描いたのはデ・プレディス兄弟とするのが一般的な説である。本作とルーヴル美術館版『岩窟の聖母』との最も決定的な差異は登場人物にある。幼児洗礼者聖ヨハネにアトリビュートである十字の杖と衣を加え、幼子イエスとの間に明確な区別が為されている他、大天使ウリエルを除く聖母マリア、幼子イエス、幼児洗礼者聖ヨハネには神的人格の象徴である光輪が描かれている点や、大天使ウリエルの軽やかな衣服の表現やポーズの変更など、より依頼者の望みに則した表現が用いられている。

関連:ルーヴル美術館所蔵 『岩窟の聖母』


【全体図】
拡大表示

【参考:Louvre版部分】
←このより明確で、ぼかしの無い明暗な作風こそ、レオナルドと他の画家との共作であることがうかがえる。



【聖母の拡大図】

【参考:Louvre版部分】
←ナショナル・ギャラリー版では登場人物全てに円光(天使の輪)が加えられている。また本作では聖ヨハネが十字架杖を手にしている。



【聖ヨハネの拡大図】

【参考:Louvre版部分】
←ルーヴル版に比べ、肉体のやわらかい表現は弱まり、かなり平板で、表情も甘美に欠けたものとなっている。



【幼子イエスの拡大図】

【参考:Louvre版部分】
←本作で大天使ウリエルはルーヴル版と比べ自分自身を見つめ、身にまとう服装もより軽やかに描かれている。



【天使の拡大図】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ