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聖ヒエロニムス (Hl. Hieronymus) 1521年
59.5×48.5cm | Oil on panel | リスボン国立美術館 |
デューラーの中期から晩年期にかけて極めてよく描かれた聖人画『聖ヒエロニムス』。本作はその代表的なもので、ネーデルランド滞在中に手がけられた。また本作はアントウェルペン駐在ポルトガル商館長R・F・フェルナンデス・アマルダに贈呈された作品であるが、当時ネーデルランドで流行していた半身肖像を用い、鋭い眼光でこちらを見つめる聖ヒエロニムスの深い感情表現や卓越した技術によって手がけられる各個所の細密な描写など、20点を超す模写がネーデルランドに残されていることから、その反響の大きさがうかがえる。卓越した技術で描かれる聖ヒエロニムスの顎鬚の描写や豊かな色彩表現などは特に本作の大きな見所のひとつであるが、その他にも短縮画法によって描かれる開いた書物や、その傍らに置かれる頭蓋骨、キリストの磔刑像など効果的に奥行きを持たせる様々なものを配置しているなど、注目すべき点は多い。なお本作の≪聖ヒエロニムス≫主題は、ラテン教会四大博士のひとりで、ローマで神道を学んだ後19歳で洗礼を受け、シリアの砂漠で数年間隠修生活をおくり数々の誘惑に打ち勝ったほか、聖パウラを弟子にしウルガタ聖書の翻訳をおこなった聖人で、当時から最も人気のあった聖人のひとりとして広く人々に親しまれている。
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