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宰相ニコラ・ロランの聖母子(オータンの聖母子)
(Virgin and Child with Chancellor Nicola Rolin) 1435年頃
66×62cm | Oil on panel | Musee du Louvre, Paris |
オータン大聖堂が旧蔵していたことからオータンの聖母とも呼ばれるエイクの代表作『宰相ニコラ・ロランの聖母子』。大聖堂へ寄贈したのは同地オータン出身者で1422年ブルゴーニュ公国の宰相となったニコラ・ロラン。本作は百年戦争中の1435年、イギリス、フランス、ブルゴーニュの三国間に結ばれた和平を機にロランがエイクに注文し、オータン大聖堂へ寄贈したものだと研究されている。慈しみの表情を浮かべ、幼子イエスを抱く聖母マリアの上方には神の意思を伝え、その実行者ともなる天使が翼を広げ、聖母に戴冠しようとしている。また写実的な表現で描かれる幼子イエスがおこなう右手を上げ、指を二本立てるポーズは祝福の、または審判の意味を持つとされている。
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