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ルネサンス芸術
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ヤン・ファン・エイク Jan van Eyck
1390-1441 | ネーデルランド | 初期ネーデルランド絵画
神の手をもつ男と称えられたほど卓越した技量を持った15世紀ネーデルランド絵画の創始者。画家としての修行暦は不明。乾性油と樹脂・うすめ液を用い、それまでおこなわれていた油彩画法を改良し、細密な描写と鮮やかな着彩法を確立。ルネサンスにも劣らない革新をもたらした。1422年からホラント伯ヨハン・フォン・バイエルンの宮廷画家として活躍し、1425年以降はブルゴーニュ侯フィリップ善良公の従者兼宮廷画家となりポルトガル、スペインなどに旅行。終生、同公の寵愛を受けながら制作活動を続ける。また同業であった兄ヒューベルトが制作していた『ヘントの祭壇画』を彼の死後に引継ぎ、1432年完成させた。
【全体図】
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ヘント(ゲント)の祭壇画
(The Ghent Altarpiece)1425-32年
350.5×460cm | 油彩・板 | シント・バーフ大聖堂(ヘント)
兄ヒューベルトの死後、エイクが制作を引き継ぎ、エイク兄弟のみならず、15世紀ネーデルランド絵画の代表する作品となった傑作『ヘントの祭壇画(ゲントの祭壇画)』。主題は開扉時下段中央に描かれている≪子羊の礼拝≫だが、上段部分、閉扉時部分に見られる細心綿密な写実描写など本作には特筆すべき点が多い。本祭壇画の開扉時下段中央に描かれている主題≪子羊の礼拝≫。ヨハネの黙示録に記される『諸聖徒日(天上諸聖徒と殉教者を祭る11月1日)』の場面を描いたとされる(
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)。真紅の衣を纏い装飾的な玉座に座る、信仰・崇拝・儀礼・神話・教義などの中心となる位格・存在、キリスト教においての超越的絶対者の父なる神や、典型衣装とも云うべき濃紺の衣をまとう聖なる神の教典を読む聖母マリア、神の審判が迫ることを説き、人々に悔い改めの証として洗礼を施した、洗礼者聖ヨハネの描写は現実性を強く感じさせるほど、写実的描写を用いて描かれている。これらの表現に画家の完成された(絵画技法的)技術と優れた才能を感じさせる。なお開扉時の左下段翼部分≪正義の審判者≫
(参照)
は1934年盗難にあい行方不明のままで、現在は複製画が入る。
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【全体図】
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赤いターバンの男の肖像
(Portrait of a Man with a Turban) 1433年
25.8×18.9cm | Oil on panel | National Gallery, London
ネーデルランド絵画の創始者ヤン・ファン・エイクが手がけた肖像画の代表作『赤いターバンの男の肖像』。年記、銘ともにそろう本作は画家自身の自画像であるという説と、ある高位の貴族の肖像画である説とで長い間議論されているが、どちらの説も決定的な確証は得ておらず、未だ結論は出ていない。観る者と静かに対峙するかのような男の、骨ばった顔の立体感や肌の質感はもちろん、瞳の中に反射する細かな光や、年齢を重ねたことが伺える目尻の皺など、当時の肖像画ではありえないほどの写実性が本作には示されている。
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アルノルフィーニ夫婦
1434年
(Double Portrait of Giovanni : Arnolfini and His Wife)
81.8×59.7cm | Oil on panel | National Gallery, London
ロンドン・ナショナルギャラリーで展示される、神の手を持つ男と呼ばれ、油彩画の基礎を築いたネーデルランド絵画の巨匠ヤン・ファン・エイクの傑作『アルノルフィーニ夫婦』。モデルはイタリア出身の銀行家で、フィリップ善良公に仕えたジョヴァンニ・アルノルフィーニと、その婚約者ジョヴァンナ・チェナーミ。二人の結婚の立会い者として、画家自身が中央の鏡の中に描かれている本作は、ネーデルランド(現ベルギー)で描かれた当初から名画として名声を博し、オーストリア(ハプスブルグ家)やスペインを経由した後、現在の所蔵先である英国へと渡った。主題については、妊娠説、占い説など当時より諸説唱えられていたが、1960年代に、ドイツ人学者によって、ジョヴァンニ・アルノルフィーニとジョヴァンナ・チェナーミの婚礼の秘儀を描いたものと発表されてからは、この説が最も有力視されている。ジョヴァンナ・チェナーミの手を取り祈りを捧げる姿は、窓から差し込むやわらかい光により、より一層、厳かで落ち着いた雰囲気を場面内に与えている。若々しい妻ジョヴァンナ・チェナーミの衣装には、妊娠をしているかのように腹部が膨らんでいるが、これは当時の流行が取り入れられた為であると研究されているほか、右部のベッドの柄には妊婦の守護聖人である聖マルガリータが彫られている。さらに一本だけ火が灯った蝋燭は契約を意味し、犬は忠誠を、木のサンダルは神聖な儀式であること(又は女性器)を、窓辺の果実はエデンの園でイブが食べたリンゴ、つまり原罪を表わしている(詳しくは
拡大図
を参照)。画面中央の鏡の上には「ヤン・ファン・エイクここにありき 1434年」と画家のサインが記されており、画家の揺ぎ無き細密描写への自信が示されている。またサイン下部の鏡の周囲には、キリストの十字架の道行き(キリストの受難)の10場面が描かれている。
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宰相ニコラ・ロランの聖母子(オータンの聖母子)
(Virgin and Child with Chancellor Nicola Rolin) 1435年頃
66×62cm | Oil on panel | Musee du Louvre, Paris
オータン大聖堂が旧蔵していたことからオータンの聖母とも呼ばれるエイクの代表作『宰相ニコラ・ロランの聖母子』。大聖堂へ寄贈したのは同地オータン出身者で1422年ブルゴーニュ公国の宰相となったニコラ・ロラン。本作は百年戦争中の1435年、イギリス、フランス、ブルゴーニュの三国間に結ばれた和平を機にロランがエイクに注文し、オータン大聖堂へ寄贈したものだと研究されている。慈しみの表情を浮かべ、幼子イエスを抱く聖母マリアの上方には神の意思を伝え、その実行者ともなる天使が翼を広げ、聖母に戴冠しようとしている。また写実的な表現で描かれる幼子イエスがおこなう右手を上げ、指を二本立てるポーズは祝福の、または審判の意味を持つとされている。
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ヴァン・デル・パーレの聖母子
(Virgin and Child with Canon van der Paele) 1434-36年頃
122.1×157.8cm | Oil on panel | Groeninge Museum, Bruges
1434年ブルッヘ(Bruges)市のシント・ドナートゥス教会の参事会員を務めていたヴァン・デル・パーレから依頼を受け、制作された作品である通称『ヴァン・デル・パーレの聖母子』。完成後は同教会へ寄贈された。遠近法によって巧みに描かれた空間構成と、聖母子、聖人、ヴァン・デル・パーレの始めとした人物や着衣など細密に描写された各部分は、現在も色褪せず輝きを帯びている。幼子イエスを抱き、静かに寄進者を見つめる聖母マリアや幼子イエス、寄進者ヴァン・デル・パーレを始めとした人物は、ゴシック期では厳粛な描き方が一般的だった玉座の聖母に装飾的な衣装を纏わせ、神々しいほどの荘厳性が示されている。また左右に配されるのは、守護聖人と聖母子を前にし、ヴァン・デル・パーレに手を差し出す、甲冑で身を堅め、異教の有翼竜を退治したと伝えられる伝説上の人物、聖騎士ゲオルギウスと、ブルッヘの守護聖人ドナティアヌス(守護聖人とは特定の個人・職業・身分・団体・都市・国家などを保護し、神への執成しをおこなうとして崇敬される聖人を意味する)。
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