■ |
赤いターバンの男の肖像
(Portrait of a Man with a Turban) 1433年
25.8×18.9cm | Oil on panel | National Gallery, London |
ネーデルランド絵画の創始者ヤン・ファン・エイクが手がけた肖像画の代表作『赤いターバンの男の肖像』。年記、銘ともにそろう本作は画家自身の自画像であるという説と、ある高位の貴族の肖像画である説とで長い間議論されているが、どちらの説も決定的な確証は得ておらず、未だ結論は出ていない。観る者と静かに対峙するかのような男の、骨ばった顔の立体感や肌の質感はもちろん、瞳の中に反射する細かな光や、年齢を重ねたことが伺える目尻の皺など、当時の肖像画ではありえないほどの写実性が本作には示されている。
|