2006/04/27掲載
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幼子キリストの礼拝(Adorazione del Bambino) 1453年頃137×134cm | テンペラ・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ) 関連:ウフィツィ美術館版『幼子キリストの礼拝』 関連:ダーレム美術館版『幼子キリストの礼拝』
憂いと陰りを感じさせる聖母マリアの表情。本作で最も特徴的なのは初期ルネサンスの三大芸術家のひとりで彫刻家であったドナテッロからの影響が指摘されるスキアッチャート(浅い浮き彫り)的表現手法や、陰鬱にすら感じられる神秘性に溢れたゴシック様式への回帰である。
【憂いを感じさせる聖母マリアの表情】
大地に寝かせられる幼子イエス。スキアッチャート(浅い浮き彫り)的表現手法が用いられた大地に寝かせられる幼子イエスや憂いと陰りを感じさせる聖母マリアの表情、画面全体に漂う非現実的な雰囲気に画家の新たな様式形成が示されている。
【大地に寝かせられる幼子イエス】
幼子イエスと聖母マリアに寄り添う義父聖ヨセフ。本作以外にも≪幼子キリストの礼拝≫を描いた二つの別作品が現存しており、ルクレツィア・トルナブオーニの依頼によってカマルドリ会隠修士修道院のために制作された作品が本作同様ウフィツィ美術館に、パラツィオ・メディチ内の礼拝堂が旧蔵していた作品はベルリンのダーレム美術館にそれぞれ所蔵されている。
【寄り添う義父聖ヨセフ】 |