Description of a work (作品の解説)
2006/04/14掲載
Work figure (作品図)
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聖母戴冠

 (Incoronazione della Vergine) 1441-1447年頃
200×287cm | テンペラ・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

15世紀フィレンツェ派の画僧フィリッポ・リッピ中期を代表する作品のひとつ『聖母戴冠』。教会参事会員であったフランチェスコ・マリンギの依頼によりフィリッポ・リッピに依頼されるも、依頼人が数ヵ月後に死去し、遺言執行人であり聖堂付司祭であったドメニコ・マリンギに引き継がれ制作された経緯を持つこの大規模な祭壇画は、フィレンツェのサンタンブロージョ聖堂内主祭壇画として、死した聖母が復活し、肉体と魂が昇天した後に父なる神から戴冠される聖母マリア≪聖母戴冠≫を描いたものであるが、フィリッポ・リッピの現実主義的な描写と空間構成における重要な発展と成果が示されている。父なる神の前で跪く聖母マリアの戴冠場面は天上の世界ではなく、現実味を強く感じさせる舞台風な装飾の玉座の前で表現されており、当時の表現としては極めて異質的に作品の題材を扱っており、聖母マリアに戴冠するのが主イエスではなく万物の創造主である父なる神であることから、無原罪の御宿りや聖母被昇天などと同様、神の子イエスの聖なる器としての聖母マリアが示されている。また画面右下で手を合わせている赤と紺の衣の男はドメニコ・マリンギの姿と、画面左下で頬杖をつく男はフィリッポ・リッピ自身と見なされている。なおフィリッポ・リッピは同時期にこの≪聖母戴冠≫を主題とした別の作品を描いており、その作品は現在、ヴァティカン宮美術館に所蔵されている。

関連:ヴァティカン宮美術館所蔵『聖母戴冠』


【全体図】
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父なる神より戴冠される昇天した聖母マリア。この大規模な祭壇画となる本作は、教会参事会員であったフランチェスコ・マリンギの依頼によりフィリッポ・リッピに依頼されるも、依頼人が数ヵ月後に死去し、遺言執行人であり聖堂付司祭であったドメニコ・マリンギに引き継がれ制作された経緯を持つ。



【父なる神より戴冠される聖母マリア】
現実味を強く感じさせる舞台風な場面。父なる神の前で跪く聖母マリアの戴冠場面は天上の世界ではなく、現実味を強く感じさせる舞台風な装飾の玉座の前で表現されており、当時の表現としては極めて異質的に作品の題材を扱っている。また聖母マリアに戴冠するのが主イエスではなく万物の創造主である父なる神であることから、無原罪の御宿りや聖母被昇天などと同様、神の子イエスの聖なる器としての聖母マリアが示されている。



【現実味を強く感じさせる舞台風な場面】
フィリッポ・リッピ自身と見なされる頬杖をつく男。画面右下で手を合わせている赤と紺の衣の男はドメニコ・マリンギの姿と、画面左下で頬杖をつく男はフィリッポ・リッピ自身と見なされている。なおフィリッポ・リッピは同時期にこの≪聖母戴冠≫を主題とした別の作品を描いており、その作品は現在、ヴァティカン宮美術館に所蔵されている。



【フィリッポ・リッピ自身と見なされる男】

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