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最後の審判 (Altarpiece of the Last Judgment)
1473年以前 | 各部による | 油彩・板 | ポモルスキ美術館 |
15世紀後半に活躍した初期ネーデルランド絵画の画家ハンス・メムリンクの代表作のひとつ『最後の審判』。当時、画家が活躍したブリュッヘにおけるメディチ家の代理人であったヤコポ・ターニの依頼により手がけられた三連祭壇画で現在はグダニスクのポモルスキ美術館が所蔵する本作は、中央部分に再度復活を遂げ再臨した後、全ての死者を復活させ人類を裁く教義≪最後の審判≫を、左部分に断罪者イエスによって選び救われた人々が導かれる永遠が約束された地であり、アブラハムの懐や天上のエルサレムとしても表現された≪天国≫を、右部分に罪深き者が業火によって永遠にその身を焦がされる断罪の地≪地獄≫が描かれている。13世紀以降の≪最後の審判≫を踏襲した伝統的な図像や構図が用いられている本作であるが、登場人物の表現にメムリンク独特の温和な甘美性や独特の華奢な人物構造が示されるほか、初期ネーデルランド絵画伝統である高度な細密描写が画面の至るところに見られるなど画家として成熟された表現が感じられる。また閉扉時にはグリザイユで左に聖母子、右に大天使聖ミカエルが、その下には寄進者ヤコポ・ターニとその妻が描かれている。なお本作は完成後、フィレンツェに運ばれる途中、船舶が拿捕されグダニスクの聖母子堂≪聖ゲオルギウス会≫に寄贈された経緯を持つ。
関連:閉扉時『聖母子と寄進者及び聖ミカエルと寄進者の妻』
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