2006/06/15掲載
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受胎告知の聖母(Vergine annunziata) 1473-1474年頃45×34.5cm | 油彩・板 | シチリア州立美術館 関連:アルテ・ピナコテーク所蔵『受胎告知の聖母』
独特の印象を与える聖母マリアの表情。本作には、大天使ガブリエルから父なる神の意志により神の子イエスを宿す聖なる器として選ばれ、聖胎を告げられる≪受胎告知≫の主題から聖告を受ける≪聖母マリア≫が単独で描かれている。
【独特の印象を与える聖母マリアの表情】
ウンブリア派の巨匠ピエロ・デラ・フランチェスカの影響を感じさせる量感に富む聖母マリアの手の描写。微妙な色調の変化による光彩の効果によって、本作において最も印象的なのは作品世界の中だけ時が止まったかのような静謐で精神性の深い表現に他ならない。
【量感に富む聖母マリアの手の描写】
聖母の前で開かれる書物。本作には≪聖母マリア≫の単身像として他の画家には見られないアントネッロ・ダ・メッシーナ独特の人物表現における対象の存在感が示されており、アカデミア美術館に模写が一点、アルテ・ピナコテークにニ連祭壇画の片方として手がけられたと推測される改版が所蔵されている。
【聖母の前で開かれる書物】 |