Description of a work (作品の解説)
2005/09/13掲載
Work figure (作品図)
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聖セバスティアヌス

 (San Sebastiano) 1476年頃
171×85cm | 油彩・板(画布) | ドレスデン国立絵画館

アントネッロ・ダ・メッシーナが後世に残した全作品中、最も著名な作品のひとつとして人々に受け入れられている代表作『聖セバスティアヌス』。メッシーナを中心に活躍した画家が、一時ヴェネツィアに滞在した際に描いたと研究される本作の主題は、杭(又は柱)に打ちつけられた後、矢を放たれた逸話で有名な、古くから最も親しまれてきたキリスト教の聖人のひとりである≪聖セバスティアヌス≫であるが、本作が例外なく魅力的な作品として現在までも評価されるのは、その背景の描写にある。当時、最も画期的な画法であった遠近法や幾何学的形態によって描かれる都市の姿は、聖セバスティアヌスが生きた古代を忠実に再現するものではなく、当時、アントネッロ・ダ・メッシーナが過ごしたイタリアの都市を再現しており、古代(の聖人)と、現代(当時)を綿密に結び付けている。また大気をも感じさせる柔らかくも強烈な光の表現は、この圧倒的な人気を誇る聖人と、活気溢れる都市をも光々と輝かせ、そこに用いられる明暗様々な色彩の表現は、ヴェネツィア派独自の色彩的美学を決定付けた。15世紀当時の国際的な影響関係を示すアントネッロ・ダ・メッシーナ随一の代表作として、今なお人々を惹きつけてやまない。


【全体図】
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虚空を見つめる聖セバスティアヌス。古くから最も親しまれてきたキリスト教の聖人のひとりで、杭(又は柱)に打ちつけられた後、矢を放たれた逸話で有名な聖人である聖セバスティアヌスの表現は、矢で射られた姿をしていながらも、その聖性は失われていない。



【虚空を見つめる聖セバスティアヌス】
輝きに満ちた当時の都市風景。当時、最も画期的な画法であった遠近法や幾何学的形態によって描かれる都市の姿は、大気をも感じさせる柔らかくも強烈な光の輝きに満ち、この豊かな色彩の表現はヴェネツィア派独自の色彩的美学を決定付けた。



【輝きに満ちた当時の都市風景】

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