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玉座の聖母子と聖ゲオルギウスと聖ルキア(聖会話)
Madonna col Bambino in trono e i santi Giorgio e Lucia
(Sacra conversazione) 1521年頃
310×208cm | 油彩・板 | サント・ステファノ聖堂(ヴェネツィア) |
16世紀ヴェネツィアの巨匠パルマ・イル・ヴェッキオを代表する聖会話作品『玉座の聖母子と聖ゲオルギウスと聖ルキア(聖会話)』。本作に描かれるのは奏楽の天使が音楽を奏でる頭上の玉座に鎮座する聖母マリアと幼子イエスを中心に、十四救難聖人のひとりとしても数えられる伝説の騎士聖人聖ゲオルギウスと、眼病の守護聖人であり聖カタリナなどと同じく当時より人気の高かった聖女聖ルキアを配する≪聖会話≫を描いたもので広大な大地が容易に想像できる背景の中に、パルマ・イル・ヴェッキオの温和で明瞭な色彩表現や聖母マリアや聖ルキアに示される甘美性など、画家の最も特徴的な描写が存分に表されている。伝説の騎士聖ゲオルギウスは3世紀末頃から活躍したとされるカッパドキア出身の護民官で、異教の有翼龍を退治した逸話が残されるほか第三回十字軍の守護聖人として最も著名な聖人のひとりである。また聖ルキアは貧者へ財産を分け与えたことから婚約者の怒りを買い、キリスト教徒だと密告された後、娼妓と同等の刑罰を裁判で裁かれ殉教したとされるほか、名がルキア(Lucia=光)を意味することから、ルキアの美しさに心を奪われた求婚者に、原因となる自らの目をくり抜いて与えるも、その求婚者が改宗し、ルキアが天に祈ると目も回復したという逸話が生まれた眼病の守護聖人である。
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