2006/04/17掲載
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玉座の聖母子と2聖人、2天使1492年頃(Madonna col Bambino in torno e due santi e due angeli) 直径151cm | テンペラ・板 | ルーヴル美術館(パリ)
どこか憂鬱で曖昧さを残す表情の聖母マリア。玉座へ鎮座する聖母マリアを始めとする登場人物はペルジーノ独特の優雅で情緒豊かな甘美性を示しながらも、どこか憂鬱で曖昧さを残す表情を浮かべており、この後最高潮を迎えるルネサンス時代の人間味溢れる表現手法の先駆を示している。
【どこか憂鬱で曖昧な表情の聖母マリア】
聖母に抱かれる幼子イエス。トンド(円形画)形式で制作されたペルジーノ随一の代表作的聖母子作品となる本作は、ほぼ左右対称の構図を用い、中央に玉座へ鎮座する聖母マリアと幼子イエスを、左部分聖ローサと天使を、右部分アレクサンドリアの聖女カタリナと天使を配している。
【聖母に抱かれる幼子イエス】
13世紀ヴィテルボに生まれた聖女である聖ローサ。3歳の時に親族を蘇生させる他、異教徒であった皇帝フリードリヒII世の死を予言し実現させるなどの奇蹟をおこなった聖ローサは、しばしば聖フランシスコ会第三会女として表現される。
【ヴィテルボに生まれた聖女ローサ】
最も愛された聖女のひとりである4世紀に活躍したアレクサンドリアの聖カタリナ。イエスとの婚姻的体験を持つとされる聖女カタリナは、残される逸話の信憑性から現在、教会暦から除外されている。
【アレクサンドリアの聖カタリナ】 |