Description of a work (作品の解説)
2008/12/25掲載
Work figure (作品図)
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サン・シストの聖母(聖会話、システィーナの聖母)


(Madonna Sistina (Sacra conversazione)) 1512-14年頃
265×196cm | 油彩・画布 | ドレスデン国立絵画館

盛期ルネサンスの三大巨匠のひとりラファエロ・サンツィオ後期を代表する宗教画作品『サン・シストの聖母(聖会話、システィーナの聖母)』。本作は教皇ユリウス2世が自身の故郷ピアチェンツァのサン・シスト聖堂(システィーナの聖母)の祭壇画としてラファエロに注文し制作された作品で、画面中央上部に幼子イエスを抱く聖母マリアが、画面の左右に聖シクストゥスと聖バルバラ、画面中央下部に幼い2天使が配されており、登場人物によって菱形(又は十字)が形成されているのが大きな特徴である。画面中で最も偉大的に描かれる幼子イエスと聖母マリアは非常に厳粛性と威厳性に満ち溢れており、特に幼子イエスには父なる神の神々しさが、聖母マリアには貞淑的かつ慈愛的でながら、観る者へと向けられる視線にはどこか聖母としての厳しさが感じられる。画面左側には初期ローマ教会で最も崇拝されていた殉教者のひとりとして知られる聖シクストゥス2世が幼子イエスと聖母マリアの顕示に感動し信仰を示すかのような仕草を見せている。画面右側に配される十四救難聖人のひとりである処女聖人バルバラが下方へと視線を向けており、その表情はラファエロが手がけた女性像の典型的な美を見出すことができる。この2聖人はサン・シスト聖堂でも特に崇拝されていた聖人であるほか(聖バルバラはデラ・ローヴェレ家の守護聖女でもある)、聖シクストゥスはユリウス2世の、聖バルバロはユリウス2世の姪(ジュリア・オルシーニ又はルクレツィア・デラ・ローヴェレ)の姿が模されていると推測されている。そして画面下部には、やや退屈そうな表情を浮かべる無邪気な天使たちが上部を見上げるような仕草で配されており、本作の中に宗教的精神とは異なる面白味に溢れた趣を与えている。また画面上部左右に描かれる半開の幕は当時の墓碑を真似たものであると推測されており、一部の研究者たちからは教皇ユリウス2世の墓碑に掲げる為に制作されたとの説も唱えられている。


【全体図】
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神々しさと厳粛性に溢れた表情の幼子イエスと聖母マリア。本作は教皇ユリウス2世が故郷ピアチェンツァのサン・シスト聖堂のためにラファエロに注文し制作された作品で、登場人物によって菱形(又は十字)が形成されているのが大きな特徴である。



【厳粛性に溢れたイエスと聖母マリア】
信仰を示す聖シクストゥスの姿。画面左側には初期ローマ教会で最も崇拝されていた殉教者のひとりとして知られる聖シクストゥス2世が幼子イエスと聖母マリアの顕示に感動し信仰を示すかのような仕草を見せている。



【信仰を示す聖シクストゥスの姿】
美しい表情を浮かべる聖女バルバラ。2聖人はサン・シスト聖堂でも特に崇拝されていた聖人であるほか、聖シクストゥスはユリウス2世の、聖バルバロはユリウス2世の姪の姿が模されていると推測されている。



【美しい表情を浮かべる聖女バルバラ】
やや退屈そうな表情を浮かべる無邪気な天使たち。画面上部左右に描かれる半開の幕は当時の墓碑を真似たものであると推測されており、一部の研究者たちからは教皇ユリウス2世の墓碑に掲げる為に制作されたとの説も唱えられている。



【退屈そうな表情を浮かべる天使たち】

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