2004/09/23掲載
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聖愛と俗愛(聖なる愛と俗なる愛)(Amor sacro e Amor profano) 1515年頃 118×279cm | 油彩・画布 | ボルゲーゼ美術館(ローマ)
世俗のヴィーナスとされる女性像。ヴェネツィアの総督書記官を務めていた有力貴族ニッコロ・アウレリオがラウラ・バガロットとの結婚の際にティツィアーノへ依頼し制作された本作は、理想美として古来より描き続けられてきた、ローマ神話における愛と美の女神ウェヌスを天上と地上における象徴的姿で描かれた寓意的作品である。
【世俗のヴィーナスとされる女性像】
天上のヴィーナスとされる女性像。生命力に溢れるヴィーナスの幸福感や健やかな官能性を始め、優雅で田園的な雰囲気や輝きを帯びる美しい色彩、牧歌的な風景描写など本作には若きティツィアーノの才気を感じさせる表現が随所に示されており、初期の画家の代表作として特に重要視されている。
【天上のヴィーナスとされる女性像】
裸体で描かれる幼子。泉水の奥には幼児が水を掻き回すかのような無邪気な姿で描かれているが、これがローマ神話の恋の神クピド(英名:キューピッド。ギリシャ神話におけるエロスと同一視される)を意味するのか、それとも母子の愛情の象徴を意味するものか、観点によって様々な意味を見出すことができる。
【裸体で描かれる幼子】 |