Description of a work (作品の解説)
2004/09/24掲載
Work figure (作品図)
■ 

聖三位一体の礼拝

(Adorazione della santissima Trinita)
1551-54年 | 346×240cm | 油彩・画布 | プラド美術館

1550年から1551年、フランドルのアウグスブルグに滞在中のティツィアーノに、カール5世に依頼され制作された祭壇画『聖三位一体の礼拝』。1554年にカール5世の元へ送られ、翌年スペインのユステに運ばれた本作の主題は、キリスト教の根本原理となる≪三位一体≫とされるが、ティツィアーノ自身はこの作品を天国と呼び、依頼主であるカール5世は最後の審判だと呼んでいたことからもわかるよう、≪三位一体≫という主題を扱いながらも、画面の中には紀元前の人々が描かれるなど、多様性に富んだ複雑なイコノグラフィー(作品中における意味または内容を表すもの)が示されている。未だ明確な判別がつかない父なる神と、神の子キリスト、そしてその中央にはエゼキエルの鷹(または聖霊を示す白い鳩)が示される。≪三位一体≫とは、本質はひとつである神を、「父(神)」「子(キリスト)」「聖霊」という三つの各位から成されるものだと位置付けるキリスト教の根本的な原理である。人と神の仲介人として三位一体のすぐ脇に描かれた、青い法衣を着た聖母マリアが、またマリアの背後(画面中左)には、マリアと同じく人々を導く者、杖を持った聖ヨハネが配されている。さらにイスラエルの第二代国王ダヴィデとされる人物が褐色の竪琴を手にする姿で描かれている。このダヴィデとされる人物の視線の先には、同じく青い衣を身にまとった聖母マリアの姿が描かれていることは注目すべき点のひとつである。依頼主である天使に導かれるカール5世の足元には王の象徴である王冠が示され、王妃イザベラの背後にはフェリペ2世や、当時のハンガリーの王女マリアなどカール5世の親交の深かった人物の姿が確認されている。


【全体図】
拡大表示
未だ明確な判別がつかない父なる神と、神の子キリスト。その中央にはエゼキエルの鷹(または聖霊を示す白い鳩)が示される。≪三位一体≫とは、本質はひとつである神を、「父(神)」「子(キリスト)」「聖霊」という三つの各位から成されるものだと位置付けるキリスト教の根本的な原理。



【父なる神と、神の子キリスト】
人と神の仲介人として三位一体のすぐ脇に描かれた、青い法衣を着た聖母マリア。またマリアの背後(画面中左)には、マリアと同じく人々を導く者、杖を持った聖ヨハネが描かれている。



【人と神の仲介人、聖母マリア】
天使に導かれる依頼主カール5世とその妻イザベラ。カール5世の足元には王の象徴である王冠が示され、王妃イザベラの背後にはフェリペ2世や、当時のハンガリーの王女マリアなどカール5世の親交の深かった人物の姿が確認されている。



【カール5世とその妻イザベラ】
イスラエルの第二代国王ダヴィデとされる人物が褐色の竪琴を手にする姿で描かれている。このダヴィデとされる人物の視線の先には、同じく青い衣を身にまとった聖母マリアの姿が描かれている。



【ダヴィデとされる人物】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ