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カナの婚宴 (Nozze di Cana) 1562-1563年
666×990cm | Oil on canvas | Musee du Louvre, Paris |
ヴェネツィアのサン・ジョルジョマッジョーレのベネディクト会修道院のために制作されたヴェロネーゼの代表作『カナの婚宴』。カナという村で催された婚礼の儀式の際に、足りなくなったブドウ酒を、キリストの奇蹟で酒瓶に満たした場面を描く≪カナの婚宴≫で、本作は、ヴェネツィア派らしい鮮やかな色彩で大人数を描くことを得意としていたヴェロネーゼの作風がよく表れている。奇蹟を起こし空の酒瓶にブドウ酒を満たしたとされる主キリストが中央に配される本作の、ガリラヤの村カナでおこなわれた婚礼の儀の幸福に満ちた雰囲気を、ヴェロネーゼは軽快な色彩を用い描き上げた。≪カナの婚宴≫を描く場合、参列者に聖母マリアやキリスト十二弟子の姿を描くことがあるが、本作ではフランス国王フランソワ1世やヴォットリア・コロンナなど当時の著名人たちが描かれている。また祝いの儀に相応しい音楽を奏でる画面中央の楽士たちが画面前景に描かれており、この楽士たちはヴェロネーゼ自身や弟ベネデット、ヴェネツィア派の巨匠で先人となるティツィアーノや、同時代に活躍したティントレットなどが描かれたものだと考えられている。
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