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ブラデリンの祭壇画(ミッデルブルクの祭壇画)
(Altarpiece of Pierre Bladelin)
1452年以降 | 91×169cm | 油彩・板 | ベルリン国立美術館 |
巨匠ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン後期の重要作『ブラデリンの祭壇画』。ブルゴーニュ公の財務長官ピエール・ブラデリンが着手し建設したミッデルブルク市の慈善団体の聖堂へ同氏から寄進された本作には、中央に偽ボナヴェントゥーラの瞑想禄や黄金伝説に基づいた≪キリストの降誕≫が、左扉には≪皇帝アウグストゥスとティブールの巫女の前に現れる聖母子≫、右扉に≪東方三博士の前に現れるベツレヘムの星≫が描かれている。中央の主要部分の深い聖性を携えた聖母子の静謐な表現や厩の写実性に優れた描写も特筆に値するが、その隣に寄進者であるピエール・ブラデリンの姿も描かれるほか、右側後方の街の風景はミッデルブルク市の景観が描かれるなど、当時の様子が示される資料的価値も本作には含まれている。なお未熟な出来栄えからおそらくは工房の弟子が制作したと思われるグリザイユによる受胎告知が閉扉時の左右扉に描かれている。
関連:閉扉時『受胎告知』
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