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十字架降下 (The Descent from the Cross) 1443年以前
220×262cm | 油彩・板 | プラド美術館(マドリッド) |
初期ネーデルランド絵画の大画家ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデンを代表する傑作『十字架降下』。おそらくルーベンの聖堂の為に制作され、同聖堂へ寄贈後、スペイン国王フェリペ2世の手に渡った本作の主題は、磔刑に処され死した主イエスを十字架から降ろすキリストの受難中、最も重要な場面≪十字架降下≫として描いたものであるが、本作では同時に聖母の同感悲哀を表現している。少なくとも2点のコピーが現存(シント・ペーテル聖堂所蔵、エル・エスコリアル宮所蔵)し、当時から最も模写された作品のひとつであった本作では、壁龕(へきがん-壁・柱の垂直面に彫った彫刻等の装飾。)を模すことによる彩色木彫の効果が死した主イエスや聖母マリアを始めとした10人の登場人物に示され、精神的な中心を効果的に対象へと向けている。また美術史家カレル・ヴァン・マンデルによる画家列伝(1604年)によれば、本作には両翼が存在し、当時には紛失したとされる。
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