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キリストの埋葬 (Entombment of Christ) 1450年頃
110×96cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ) |
初期ネーデルランド絵画の巨匠ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデンのイタリア滞在を推測させる根拠となった作品『キリストの埋葬』。本作に描かれる主題は、磔刑に処され死したイエスの亡骸を聖母マリアやアリマタヤのヨセフ、ニコデモなど諸聖人で石墓へ埋葬する場面≪キリストの埋葬≫で、イタリアに始まったルネサンスのフィレンツェ派の画僧フラ・アンジェリコが手がけた同名の作品『キリストの埋葬』と類似している点から、同作品に構想を依拠していると考えられている。ウェイデンがおこなったと推測されるイタリア絵画の研究の成果は、情緒的でありながら牧歌的にも感じられる風景描写や、初期ネーデルランド絵画の伝統に基づいた人物や各個所の写実性の中に示される新プラトン主義的な、後に死を超越する神の子イエス(の亡骸)の存在に対する神秘的で形而上学的な側面が研究者によって指摘されている。なお画面中央でイエスの亡骸を支えるニコデモはウェイデンの自画像とされているも、確証は得ていない。
関連:フラ・アンジェリコ作『キリストの埋葬』
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