■ |
最後の審判の祭壇画 (Altarpiece of the Last Judgment)
1442-1451年 | 135(中央215)×560cm | 油彩・板(一部画布)
ボーヌ施療院 |
初期ネーデルランド絵画において最も影響力のあった巨匠のひとりロヒール・ヴァン・デル・ウェイデンの前半生の集大成的傑作『最後の審判の祭壇画』。ブルゴーニュ公宰相でオータン出身のニコラ・ロランが設立したボーヌ施療院に寄進された本作に描かれるのは、≪救世主イエスと大天使ミカエル≫部分を中央とした全9画面構成からなる≪最後の審判≫で、この救世主キリストによる人類の救済と断罪の場面を、ウェイデンの教義的精神性を追求した描写によって圧倒的な表現を為すことに成功している。救世主イエスの右手側部分は≪善≫を意味しており、本作でも天使によって天国へ導かれる救済された人類の場面が描かれている。同様に本作でも示されるよう、教義≪最後の審判≫において、救世主イエスの右手側部分には≪善≫の象徴として百合の花が配される。また救世主イエスの右手側部分には≪悪≫との戦いの象徴である剣と断罪され地獄へ落とされる罪深き人類の場面が配されている。このように宗教画としての慣例に則しながらも、ウェイデン独自の深い精神性を携えた他を圧倒する表現によって、今日まで画家屈指の傑作として広く人々に知られることとなった。なお本祭壇画の閉扉時にはグリザイユ画による≪受胎告知≫と≪聖セバスティアヌス≫≪聖アントニウス≫が中央に、左右には≪寄進者ニコラ・ロラン≫と≪寄進者の妻ギィゴーヌ・ド・サラン≫の肖像が配されている。
関連:最後の審判の祭壇画(閉扉時)
|