2008/09/06掲載
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アウロラとケファロス(Aurore et Céphale) 1733年と推測250×175cm | 油彩・画布 | ナンシー美術館 対画:ルーヴル美術館所蔵 『ヴィーナスとウルカヌス』
曙の女神アウロラに陶酔する狩人ケファロス。おそらく高等法院弁護士フランソワ・デルベの依頼により1733年に制作された作品であると推測されている本作は、古代ローマ有数の詩人オウィディウスによる傑作≪転身物語(変身物語)≫第7巻703に記される≪アウロラとケファロス≫を主題に描かれた作品である。
【女神アウロラに陶酔するケファロス】 己の恋の成熟に満足そうな表情を浮かべる曙の女神アウロラ。本作では本来の物語進行とは異なり、「狩人ケファロスに拒絶された動揺から己の仕事を放棄した曙の女神アウロラを見かねた愛の神キューピッドが、狩人ケファロスの心から妻プロクリスを消し女神アウロラに陶酔させた」と、絵画ならではの独自的解釈に基づいた物語展開が描かれている。
【恋の成熟に満足する女神アウロラ】
画面上部に配されるふたりの天使。本作には3人の天使が描かれており、画面上部の2天使のひとりは夜明けを告げる松明を、もうひとりは女神アウロラが乗る馬車の軍馬ランポスとファエトンの手綱を、画面下部(狩人ケファロスの背後)の天使は朝露となる水瓶を手にしている。
【画面上部に配されるふたりの天使】 |