Description of a work (作品の解説)
2008/07/24掲載
Work figure (作品図)
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謁見する中国皇帝


(Festin de l'empereur de Chine) 1742年
40×47cm | 油彩・画布 | ブザンソン美術館

盛期ロココ美術を代表する巨匠フランソワ・ブーシェ作『謁見する中国皇帝』。本作はボーヴェ・タピスリー製作所のために画家が手がけた、10点から構成される連作≪中国主題のタピスリー≫の下絵(原図)の中の1点(第2タピスリー用)で、民衆の謁見を受ける皇帝の様子が描かれている。本作には18世紀当時、フランス国内はもとより、欧州全土で流行していた中国趣味(シノワズリ)的様式を取り入れた最も典型的なブーシェの作品のひとつでもあり、画家の中国趣味に対する(個人的な愛情を含めた)傾倒の深さを示している。下絵として制作されているために他の主要な油彩画と比較すると寸法がやや小さい本作ではあるが、描かれる内容と描写の質は非常に高い。50年以上前(1690年頃)に他の画家によって下絵が手がけられた最初の連作≪中国主題のタピスリー≫の同主題の作品から着想が得られていると推測される本作の画面中央に玉座に座る皇帝が傍らの黄金の剣と地球儀と共に描かれており、その周囲には複数の従者たちが皇帝の世話をおこなっている。その下では深々と頭を下げながら民衆らが貢物を携えながら皇帝と謁見している。さらに画面の左右には皇帝を守る兵士や高官らが描かれているほか、背後には大勢の民衆が所狭しと配されている。これらの軽快な筆触による密度の濃い細かな描写も注目すべき点であるが、本作で最も特筆すべき点は表現される色彩の見事さにある。まるで水彩のような潤沢性を感じさせる登場人物の衣服の多様な色彩や、自然的な輝きを感じさせる明瞭な光と複雑な陰影の表現はブーシェの他の作品では見られない独自性とロココ的軽快性に溢れており、今なおその輝きは失うことなく観る者を魅了し続けているのである。


【全体図】
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玉座に鎮座する中国の皇帝。本作はボーヴェ・タピスリー製作所のために画家が手がけた、10点から構成される連作≪中国主題のタピスリー≫の下絵(原図)の中の1点(第2タピスリー用)で、民衆の謁見を受ける皇帝の様子が描かれている。



【玉座に鎮座する中国の皇帝】
深々と頭を下げながら皇帝と謁見する民衆たち。本作には18世紀当時、フランス国内はもとより、欧州全土で流行していた中国趣味(シノワズリ)的様式を取り入れた最も典型的なブーシェの作品のひとつでもあり、画家の中国趣味に対する(個人的な愛情を含めた)傾倒の深さを示している。



【皇帝と謁見する民衆たち】
皇帝の周りに描かれる兵士や高官たち。まるで水彩のような潤沢性を感じさせる登場人物の衣服の多様な色彩や、自然的な輝きを感じさせる明瞭な光と複雑な陰影の表現はブーシェの他の作品では見られない独自性とロココ的軽快性に溢れており、今なおその輝きは失うことなく観る者を魅了し続けている。



【皇帝の周りに描かれる兵士や高官たち】

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