2008/10/12掲載
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エジプトへの逃避途上の休息(Repos pendant la fuite en Egypte) 1757年 139×149cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館
幼児聖ヨハネへ洗礼をおこなうような仕草の幼子イエス。本作に描かれる主題は聖ヨセフが聖母マリアと幼子イエスを連れエジプトへと逃避する場面≪エジプトへの逃避途上の休息≫で、宗教的主題にも関わらず非常に優美でロココ趣味的な装飾的描写によって構成されているのが大きな特徴である。
【幼児聖ヨハネと幼子イエスの姿】 岩に腰掛け読書する聖母マリアの優美な姿。画面右下に岩に腰掛け書物を読む聖母マリアの横姿や一匹の子羊が配され、聖母マリアの足下(画面中央下部分)には幼子イエスが幼児洗礼者聖ヨハネへ洗礼をおこなうような仕草で描き込まれている。
【岩に腰掛け読書する聖母マリア】
出現した天使らを見上げる夫聖ヨセフ。聖母マリアの文化的香りの漂う優雅な読書行動を始め、やや明暗対比が大きく輝きに満ちた陰影表現、繊細で装飾的優美性に富んだ構成要素や色彩描写には宗教的精神性というより、装飾絵画としての通俗的な性格が強く示されている。
【出現した天使らを見上げる夫聖ヨセフ】 |