Description of a work (作品の解説)
2008/09/23掲載
Work figure (作品図)
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鳩小屋(シャラントンの水車小屋)


(Le Pigeonnier (Le Moulin de Charenton)) 1750-51年頃
72×91cm | 油彩・画布 | オルレアン美術館

盛期ロココ美術随一の大画家フランソワ・ブーシェの代表する風景画作品『鳩小屋(シャラントンの水車小屋)』。署名や年記は無いものの、しばしば関連性が指摘されているルーヴル美術館所蔵の『』や『水車小屋』と同時期に制作されたと推測されている本作は、古くからパリを中心とした地域圏イル・ド・フランス地方の小都市シャラントン・ル・ポンの水車小屋を描いた作品であると論じられてきたが、現在ではその描かれる内容から主題(画題)は鳩小屋であるとの指摘がされている。流麗甘美な官能性漂うロココ様式による神話画や肖像画などで名を馳せたブーシェであったが、その生涯では本作のような古典的叙情性を感じさせる風景画も複数手がけており、本作はその中の代表格として広く認知されてる。画面中央には(画面の中で)一際目を惹きつける赤色の衣服を身に着けた農婦がやや小さな池へ木桶を降ろし水を組んでいる姿が描かれ、その垂直線上となる前景中央には一匹の猟犬が配されている。農婦の奥に描かれた本作の主題となる粗末な鳩小屋には数羽の白鳩が留まっており、それは農婦の右側に描かれる小さな民家も同様である。あくまでもロココ的な軽やかさなど様式的特徴を漂わせた、基礎力の高さを感じさせる写実的描写の中に示される、あたかも神話の一場面を連想させるような詩情性に溢れた雰囲気の描写や洗練された小粋で叙情的な感情性、薄い大気感、繊細ながら輝きに満ちた光の表現などは特に秀逸の出来栄えであり、今なお観る者を魅了し続けるのである。

関連:ルーヴル美術館所蔵 『森』
関連:ルーヴル美術館所蔵 『水車小屋』


【全体図】
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木桶で水を汲む農婦と鳩小屋。本作は、古くからパリを中心とした地域圏イル・ド・フランス地方の小都市シャラントン・ル・ポンの水車小屋を描いた作品であると論じられてきたが、現在ではその描かれる内容から主題(画題)は鳩小屋であるとの指摘がされている。



【木桶で水を汲む農婦と鳩小屋】
小さな民家の木の階段。流麗甘美な官能性漂うロココ様式による神話画や肖像画などで名を馳せたブーシェであったが、その生涯では本作のような古典的叙情性を感じさせる風景画も複数手がけており、本作はその中の代表格として広く認知されてる。



【小さな民家の木の階段】
樹木に当たる陽光の繊細な表現。あたかも神話の一場面を連想させるような詩情性に溢れた雰囲気の描写や洗練された小粋で叙情的な感情性、薄い大気感、繊細ながら輝きに満ちた光の表現などは特に秀逸の出来栄えであり、今なお観る者を魅了し続けるのである。



【樹木に当たる陽光の繊細な表現】

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