2008/03/16掲載
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カードのお城(トランプの城)(Château de cartes) 1736-37年頃(又は1741年頃) 60×72cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー 関連:ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵 『カードのお城』
手にするカードへと向けられる少年(青年)の視線。本作に描かれるのは、画家の親しい友人であったパリで家具商を営む(また画家の再婚の立会人でもある)ジャン=ジャック・ル・ノワール氏の息子をモデルに、机の上でカード(トランプ)を組み立てる遊びに興じる少年の姿で、その為、本作は『カードのお城を作って遊ぶル・ノワール氏の息子』とも呼ばれている。
【手にするカードへと向けられる視線】
静謐な雰囲気と良く馴染む落ち着いた色彩。当時の流行を加味した六角形のボタンが付けられる上着を上品に着こなし、頭髪を黒いリボンで結んだ上に三角帽子を被るこの少年(青年)の優美な姿は、画家の作品の中でも特に秀逸の出来栄えであり、今なお観る者を魅了する。
【静謐な雰囲気と馴染む落ち着いた色彩】 テーブルの上で積み上げられるカード。本作に描かれる画題は、通常「虚栄の寓意」と解釈されるものの、その寓意の表現目的で本作が制作されたのではなく、おそらくはカードを積み上げ遊ぶ行為(またそうして遊ぶ子供の姿)そのものへの画家への興味が向いた為に(複数回)制作されたとも推測されている。
【テーブルの上で積み上げられるカード】 |