Description of a work (作品の解説)
2008/02/05掲載
Work figure (作品図)
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学校の先生(女教師)

 (Maîtresse d' école) 1730-40年頃
61.5×66.5cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ロココ様式時代に活躍した画家ジャン・シメオン・シャルダンを代表する作品のひとつ『学校の先生(女教師)』。本作はあたかも少女を思わせるような姿をした女教師が指し針を用いて、幼い生徒にアルファベットの書かれた教書で何かを教える姿を描いた作品である。背景を排した簡素な画面構成にすることよって観る者の視線を自然と対象の人物(女教師と生徒)へと向けさせる工夫がなされており、このアプローチ(とその成功)が示される最初の作品として本作はシャルダンの画業における特に重要な位置に付けられている。また幼い生徒の視線は、画面の中で女教師によって指し示される教書のアルファベット文字の一点を注視しているが、女教師の方は、教書というよりも、生徒の方へと視線を向けているように思われる。表現手法においても、穏やかでありながら明確に人物を照らす光の描写や、全体的に落ち着いた色彩の中で映える女教師の帽子の赤いリボンや青地の衣服、ごく日常的な雰囲気の表現など特筆すべき点は多い。本作の制作年代については、ヴィルデンシュタインによる1731-32年とする説、ロザンベールによる1736年とする説、デニス・サットンによる1739-40年とする説など諸説唱えられており、現在も議論が続いている。なお本作は画家の二人の子供(ピエール・ジャン、マルグリット・アニェス)か、画家の友人ル・ノワールの家族らモデルに描いたとする説も唱えられているが、憶測の域を超えない為、現在、この説を重視する研究者は少ない。


【全体図】
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幼い生徒に教える女教師。本作はあたかも少女を思わせるような姿をした女教師が指し針を用いて、幼い生徒にアルファベットの書かれた教書で何かを教える姿を描いた作品である。



【幼い生徒に教える女教師】
女教師が指す教書を注視する生徒。背景を排した簡素な画面構成にすることよって観る者の視線を自然と対象の人物(女教師と生徒)へと向けさせる工夫がなされている。



【女教師が指す教書を注視する生徒】
机の上に置かれる教書と二人の手先。穏やかでありながら明確に人物を照らす光の描写や、全体的に落ち着いた色彩の中で映える女教師の帽子の赤いリボンや青地の衣服、ごく日常的な雰囲気の表現など特筆すべき点は多い。



【机の上に置かれる教書と二人の手】

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