2009/03/02掲載
■
桃の籠(桃とバスケットと胡桃)(Corbeille de pêches avec couteau) 1768年 32.5×39.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
画面中央へと配される瑞々しい桃。画面のほぼ中央へ配される籠に乗せられた複数の桃は甘く豊潤な香りさえ感じさせるほど瑞々しく正確な球形で描写されている。籠の下には一本のやや小ぶりなナイフがテーブルからはみ出すように配されており、画面に奥行きと立体感を与えることに成功している。
【画面中央へと配される瑞々しい桃】
葡萄酒の入ったグラス。制作年記の記される最後の静物画としても知られる本作の画面左側には葡萄酒が入るのであろう透明なガラス素材のグラスがひとつ配されており、ナイフと共に本作へ硬質性や人工性を与えている。
【葡萄酒の入ったグラス】
自然界の硬質物である胡桃。本作に示される軟質と硬質の対比も画家の静物画の大きな特徴として特に注目すべき点であるが、それと同様に本作から感じられる時間的概念や静物そのものが醸し出すかのような独特な雰囲気の表現にも眼を向ける必要がある。
【自然界の硬質物である胡桃】 |