Description of a work (作品の解説)
2007/12/10掲載
Work figure (作品図)
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赤エイ(赤えいと猫と台所用具)

 (Raie) 1727-1728年頃
114.5×146cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀ロココ様式時代のフランス絵画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダン初期の代表作『赤エイ(赤えいと猫と台所用具)』。制作期と考えられている1728年に、セーヌ川近くのドーフィーヌ広場で開催された青年絵画展に出品されたほか、同年、『食卓(食器棚)』と共に王立絵画・彫刻アカデミーの入会選考作品として提出、同日異例の早さで正式な会員として認められた作品としても名高い本作は赤エイや牡蠣、細長い葱、食器などが置かれる台所と、そこで一匹の猫が毛を逆立て踏ん張る姿を描いた≪静物画≫である。当時、肖像画家として絶大な人気を博していた画家ニコラ・ド・ラルジリエールがこの作品を初見した時、優れたフランドルの画家の手による作品であると見間違え、賞賛したという逸話(17世紀にフランドルの画家が制作した静物画は特に優れていた)も残されている本作の、観る者を圧倒するかのような赤エイを始めとした静物の写実的描写、牡蠣や食器の硬質性と白布の柔軟性の対比的表現、画面全体に漂う静謐な雰囲気の中で際立つ毛を逆立てる猫の激情性、堅牢でありながらも絶妙に静動性の調和が計算された赤エイを頂点とする構図や画面構成などは、28歳という画家の若さからは筆舌し難いほど優れており、老練な出来栄えである。また一見地味な印象すら受ける全体の抑制的な色彩描写の中での、赤エイの歯を見せ笑うかのような口元や切り裂かれた腹から見える血の鮮明な赤色と、赤エイの光の当たる部分でのぬめりを感じさせる白色の描写は観る者を強く惹きつける。本作に表現される静物画における躍動性や力動性は静物画家としての画家の評価と地位を決定付けた。なお「近代絵画の父」とも呼ばれるポール・セザンヌや20世紀を代表する芸術家アンリ・マティスが本作の模写をおこなったことが知られている。


【全体図】
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歯を見せ笑うかのような赤エイの口元。一見地味な印象すら受ける全体の抑制的な色彩描写の中での、赤エイの歯を見せ笑うかのような口元や切り裂かれた腹から見える血の鮮明な赤色と、赤エイの光の当たる部分でのぬめりを感じさせる白色の描写は観る者を強く惹きつける。



【歯を見せ笑うかのような赤エイの口元】
台所に置かれる魚や牡蠣などの魚介類。王立絵画・彫刻アカデミーの入会選考作品として提出、同日異例の早さで正式な会員として認められた作品としても名高い本作は赤エイや牡蠣、細長い葱、食器などが置かれる台所と、そこで一匹の猫が毛を逆立て踏ん張る姿を描いた≪静物画≫である。



【台所に置かれる魚や牡蠣】
机上に敷かれる白布と置かれるナイフ。当時、肖像画家として絶大な人気を博していた画家ニコラ・ド・ラルジリエールがこの作品を初見した時、優れたフランドルの画家の手による作品であると見間違え、賞賛したという逸話(17世紀にフランドルの画家が制作した静物画は特に優れていた)も残されている。



【机上に敷かれる白布と置かれるナイフ】
毛を逆立てる猫の激情性。観る者を圧倒する静物の写実的描写、牡蠣や食器の硬質性と白布の柔軟性の対比的表現、画面全体に漂う静謐な雰囲気の中で際立つ毛を逆立てる猫の激情性、堅牢ながら絶妙に静動性の調和が計算された赤エイを頂点とする構図や画面構成などは特筆に値する出来栄えである。



【毛を逆立てる猫の激情性】

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