2008/02/27掲載
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シャボン玉遊び(シャボン玉吹き)(Bulles de savon) 1730-1735年頃 93×74.5cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー 関連:ボルティモア美術館所蔵 『お手玉遊び』
シャボンを膨らませる若い男。一般的には1739年のサロンに出品され、好評を呼んだ画家の作品とされている本作に描かれるのは、16〜17世紀オランダ(ネーデルランド)絵画でも数多く制作された風俗的画題のひとつ≪シャボン玉遊び(シャボン玉吹き)≫である。
【シャボンを膨らませる若い男】
大きく膨らんだシャボンの玉。本作に描かれる≪シャボン玉≫は、儚さや虚しさの象徴でもあることから、本作はヴァニタス画(虚栄画)としての性格も強い。画面中央では若い男が慎重に息を吹き込みシャボン玉を膨らませている。その傍らではシャボン玉が大きく膨らんでゆく姿をひとりの少年が見つめている。
【大きく膨らんだシャボンの玉】
本場面を興味深く見つめる少年。ごく日常的で素朴(あたりまえ)な光景の中に、張り詰める緊張感は、シャボン玉を膨らませる若い男と後景の少年が集中させるストローの尖端への視線によって、より強調されているほか、非常に調和的でさり気ない本作の色彩の多様性は、観る者を郷愁を誘うだけでなく、作品の世界へと惹き込むひとつの大きな要因ともなっている。
【本場面を興味深く見つめる少年】 |