Description of a work (作品の解説)
2008/11/02掲載
Work figure (作品図)
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二人の姉妹

 (Les Deux Sœurs) 1770年頃(又は1790年代)
71.8×55.9cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館

18世紀ロココ時代の画家ジャン・オノレ・フラゴナール後期を代表する肖像画作品のひとつ『二人の姉妹』。姉が幼い妹を玩具の木馬に乗せ抱き寄せる子供らしい無垢な愛情に溢れた姿が描かれている本作のモデルについては、古くから画家の娘アンリエット=ロザリーと画家の妻の妹マルグリット=ジェラールとする説が定説とされていたものの、近年の研究によって画家の友人であり有数の美術愛好家でもあったサン=ノン師が手がけたパステルによる本作の模写の年記から当時のロザリーの年齢(1770年とするとロザリーは当時1歳)と本作に描かれる人物の年齢について異論が唱えられ、現在は画家の親しい友人の娘たちを描いたとする説が主流である(※この年記に関して1770年と判読するか、1790年と判読するかは研究者の間でも意見が分かれている)。またサン=ノン師による模写から本作がどこかの時代、何らかの理由により上下左右で切断されていたことも判明している。画面中央右側に描かれる薄桃色のドレスを身に着けた姉は本作を観る者と視線を交わらせるようにこちらの方へと向けられている。それとは対照的に画面中央左側に描かれる黄色の衣服を着た妹は姉を一心に見つめている。特に顔面部分が特徴的である動きの早い流麗な筆触は姉妹に共通する描写手法であり、両者の親密な関係性を強調させる効果も生み出している。さらに姉妹が身に着けたドレスのややハイライトを強めた艶やかな質感表現や、姉妹へ焦点的に当てられる光源処理、軽やかに巻かれた髪の毛の描写なども注目すべき点のひとつである。また画面左下に描かれる人形のポリチネッラ(イタリア喜劇に登場する道化師)は子供の移ろいやすい興味心を象徴化させたものであるほか、暗く沈んだ背景に描かれる重厚で立派な石柱は描かれる姉妹の家柄の良さを表している。


【全体図】
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姉を見つめる妹と観る者と視線を交わす姉。画面中央右側に描かれる薄桃色のドレスを身に着けた姉は本作を観る者と視線を交わらせるようにこちらの方へと向けられており、それとは対照的に画面中央左側に描かれる黄色の衣服を着た妹は姉を一心に見つめている。



【姉を見つめる妹とこちらを向く姉】
ややハイライトを強めた艶やかな質感表現。姉妹が身に着けたドレスのややハイライトを強めた艶やかな質感表現や、姉妹へ焦点的に当てられる光源処理、軽やかに巻かれた髪の毛の描写なども注目すべき点のひとつである。



【ハイライトを強めた艶やかな質感表現】
ドレスの黄色を強調する青色の陰影。本作のモデルについては、古くから画家の娘ロザリーと画家の妻の妹マルグリット=ジェラールとする説が定説とされていたものの、近年の研究によって異論が唱えられ、現在は画家の親しい友人の娘たちを描いたとする説が主流である。



【ドレスの黄色を強調する青色の陰影】
画面左下に描かれる人形のポリチネッラ。この人形のポリチネッラ(イタリア喜劇に登場する道化師)は子供の移ろいやすい興味心を象徴化させたものであるほか、暗い背景に描かれる重厚で立派な石柱は描かれる姉妹の家柄の良さを表している。



【画面左下の人形のポリチネッラ】

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