2009/05/02掲載
■
奪われた下着(Chemise enlevée) 1778年以前35×42.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 抗いつつも否定的ではない若い女性の姿。一説によれば画家も一時期、師事していたロココ絵画の巨匠フランソワ・ブーシェの娘婿ボードワンの死去がきっかけでフラゴナールへと制作の依頼が回されたとされる本作は、愛らしい天使が寝台(ベッド)へ横たわる若く美しい女性の下着を奪う情景を描いた作品である。
【抗いつつも否定的ではない女性】
必死に下着を奪う天使の姿。この天使と若い女性の応酬は、そのまま恋を成熟させつつある男女の応酬に通じており、特に強制的に下着を奪う天使と、抵抗を試みながら必ずしも否定的ではない若い女性の様子には、ロココ時代(18世紀フランス)における男性と女性の享楽的な性格を顕著に見出すことができる。
【必死に下着を奪う天使の姿】
抑えられた色彩と大まかな筆触。明暗対比を弱め、パステルを思わせる軽やかな本作の色彩は色数こそ少ないものの、構成要素の特徴をよく捉えており、観る者を強く惹きつける。また大胆にすら感じられる勢いのある筆触は画面内へ適度な躍動感を与える効果を生み出している。
【抑えられた色彩と大まかな筆触】 |