Description of a work (作品の解説)
2008/08/19掲載
Work figure (作品図)
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音楽(ラ・ブルテシュの肖像)

 (Musique) 1769年頃
81×65cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランス(後期ロココ美術時代)の大画家ジャン・オノレ・フラゴナールを代表する人物画作品のひとつ『音楽(ラ・ブルテシュの肖像)』。本作は同時期に制作された『エチュード(歌、又は学習)』などと同様、現在までに15作品が確認されている半身肖像画、所謂≪フィギュール・ド・ファンテジー(幻想的肖像画)≫の一点であると推測されている作品で、画面左下に画家の署名と年記が記されている。さらに裏面には「1769年、ラ・ブルテシュをモデル(注:ラ・ブルテシュ氏は画家の重要なパトロンであったサン=ノン師の兄)にフラゴナールが僅か一時間で仕上げた」と本作を考察する重要事項が記されている本作では、弦楽器を手に(演奏)する男性がふと観る者の方を振り向いたかのような姿態で人物が描かれており、その表情は大きな感情は示さないものの非常に自然的な印象を受ける。男性(ラ・ブルテシュ)が身に着けるのは≪スペイン風≫と呼ばれる贅沢な演劇風の衣服で、これもフィギュール・ド・ファンテジーに共通する特徴である。さらに本作の黄色を多用した衣服の色彩や、明暗対比の大きい背景の色彩、左半身へ集中的に向けられる光源などは画家の表現様式的特徴でもあり、画家の絵画の典型が示されている。また本作の闊達に画面内を動く即興的な筆触や、迷い無くひかれる単純的な描写が用いられる肖像表現(人物表現)には、古くから17世紀オランダ絵画黄金期の画家フランス・ハルスの影響が指摘されているものの、現在では16世紀ヴェネツィア派を代表する画家ティントレットや、バロック絵画の巨匠ルーベンスなどの影響を唱える研究者も少なくない。


【全体図】
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自然的な印象を受ける男性の表情。本作は同時期に制作された『エチュード(歌、又は学習)』などと同様、現在までに15作品が確認されている半身肖像画、所謂≪フィギュール・ド・ファンテジー(幻想的肖像画)≫の一点であると推測されている作品で、画面左下に画家の署名と年記が記されている。



【自然的な印象を受ける男性の表情】
≪スペイン風≫と呼ばれる贅沢な演劇風の衣服。本作の裏面には「1769年、ラ・ブルテシュをモデル(注:ラ・ブルテシュ氏はサン=ノン師の兄)にフラゴナールが僅か一時間で仕上げた」と本作を考察する重要事項が記されている。



【スペイン風と呼ばれる演劇風の衣服】
闊達に画面内を動く即興的な筆触。本作の黄色を多用した衣服の色彩や、明暗対比の大きい背景の色彩、左半身へ集中的に向けられる光源などは画家の表現様式的特徴でもあり、画家の絵画の典型が示されている。



【闊達に画面内を動く即興的な筆触】

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