Description of a work (作品の解説)
2009/02/11掲載
Work figure (作品図)
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玉座の聖母子と聖人たち


(Madonna col Bambino in trono e santi) 1708年
406×208cm | 油彩・画布 | サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂

18世紀ヴェネツィア派の巨匠セバスティアーノ・リッチの代表作『玉座の聖母子と聖人たち』。ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂の祭壇画として制作された本作は、幼子イエスを抱きながら玉座に座る聖母マリアを中心に、聖女カタリナや聖ローサ、聖ペテロ、聖ヒエロニムスなど諸聖人らを配した、いわゆる≪聖会話≫が主題に描かれている。画面中央左側に登場人物の中で最も上部に配される玉座の聖母マリアと幼子イエスは傍らの聖ローサの方へと意味深げに視線を傾けている。聖母子の傍らには胸に両手を当てる貞淑な聖ローサと聖女カタリナが配され、その一段下ではラテン教会四大博士である聖ヒエロニムスが書物を広げている。さらに画面左側下部では主イエスより十二使徒の長として選定されたことでも知られる初代教皇聖ペテロが、法衣を纏う聖人と語らっている姿が配されている。本作で最も注目すべき点は、18世紀に手がけられた祭壇画の中で最も明るいと称されるよう、輝かんばかりの光彩表現と多様な色彩描写にある。おそらくはルネサンスヴェネツィア派の偉大なる画家であり、当時のヴェネツィアにおいて再流行となっていたヴェロネーゼからの影響と推測される明瞭で豊潤な色彩によって、画面は多様的な輝きに満ちており中でも聖母マリアや聖ペテロが身に着ける青衣と聖ヒエロニムスの外套や画面最左側のトロンプ・ルイユ(騙し絵)的な垂れ布に用いられる赤色の色彩的対比は、色彩によって祭壇画としての聖性を見事に表現している。また画面構成に眼を向けても、自然と聖母子の方へと視線が流れるように登場人物を配するなど、各構成には極めて高度な計算と計画性を見出すことができる。


【全体図】
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玉座に座る聖母マリアと聖母に抱かれる幼子イエス。ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂の祭壇画として制作された本作は、幼子イエスを抱きながら玉座に座る聖母マリアを中心に、聖女カタリナや聖ローサ、聖ペテロ、聖ヒエロニムスなど諸聖人らを配した≪聖会話≫が主題に描かれている。



【玉座に座る聖母マリアと幼子イエス】
書物を広げる聖ヒエロニムス。聖母マリアや聖ペテロが身に着ける青衣と聖ヒエロニムスの外套や画面最左側のトロンプ・ルイユ(騙し絵)的な垂れ布に用いられる赤色の色彩的対比は、色彩によって祭壇画としての聖性を見事に表現している。



【書物を広げる聖ヒエロニムス】
愛らしい奏楽の天使の姿。おそらくはルネサンスヴェネツィア派の偉大なる画家であり、当時のヴェネツィアにおいて再流行となっていたヴェロネーゼからの影響と推測される明瞭で豊潤な色彩によって、画面は多様的な輝きに満ちている。



【愛らしい奏楽の天使の姿】

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