Description of a work (作品の解説)
2008/08/20掲載
Work figure (作品図)
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聖アガタの殉教

 (The martyrdom of St. Agatha) 1750年頃
184×131cm | 油彩・画布 | ベルリン国立絵画館

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ後期を代表する宗教画作品のひとつ『聖アガタの殉教』。以前はレンディナラの聖アガタ聖堂の祭壇に安置されていた本作に描かれる主題は、デキウス帝統治下時、島の総督に求婚されるも主イエスの花嫁であるという理由で拒否し、鉄鋏で乳房を切り取られるなど数々の拷問を受けた後に殉教(昇天)したとされる3世紀シチリア島カターニャ出身の聖女で、四大殉教童貞聖女のひとりとしても知られる≪聖アガタ≫の殉教である。画面中央からやや左寄りに鉄鋏で乳房を切り落された惨々しい聖アガタが女に胸部を抑えられながら懸命に神へと祈りを捧げる姿が配されており、その周囲には聖アガタの乳房を切り落としたと思われる鮮血の付着した刀剣を持った執行人や、聖アガタの乳房が乗せられた盆を持つ人物、拷問の執行を目撃する民衆らが描かれている。本作で最も注目すべき点は何と言っても聖アガタの陰鬱的な悲劇性や演劇的感情表現にある。天へと視線を向け、自身の耐え難い苦痛を堪えながら一心に己の信仰を受難者である主イエス(そして父なる神)に示す聖アガタの姿は、観る者に深い感動と宗教的精神性を強く感じさせる。この観る者に対し強烈な印象を与えることができる表現はティエポロの大きな特徴であり、それこそ18世紀イタリア絵画最大の巨匠と呼ばれる由縁でもある。また本作の独特の軽快性を感じさせる個性的な筆触や赤色(執行人の衣服や鮮血)、黄色(乳房の乗せられた盆をもつ人物の衣服)、青色(聖アガタの背後の聖布)などに示される鮮明な色彩表現も特筆に値する出来栄えである。


【全体図】
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必死に天を仰ぐ聖アガタの悲痛的な表情。天へと視線を向け、自身の耐え難い苦痛を堪えながら一心に己の信仰を受難者である主イエス(そして父なる神)に示す聖アガタの姿は、観る者に深い感動と宗教的精神性を強く感じさせる。



【天を仰ぐ聖アガタの悲痛的な表情】
鮮血が流れる聖アガタの胸部。画面中央からやや左寄りに鉄鋏で乳房を切り落された惨々しい聖アガタが女に胸部を抑えられながら懸命に神へと祈りを捧げる姿が配されており、その周囲には執行人や、聖アガタの乳房が乗せられた盆を持つ人物、拷問の執行を目撃する民衆らが描かれている。



【鮮血が流れる聖アガタの胸部】
聖アガタの乳房の乗せられた盆。かつてレンディナラの聖アガタ聖堂の祭壇に安置されていた本作に描かれる主題は、鉄鋏で乳房を切り取られるなど数々の拷問を受けた後に殉教(昇天)したとされる3世紀シチリア島カターニャ出身の聖女≪聖アガタ≫の殉教である。



【聖アガタの乳房の乗せられた盆】

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