Description of a work (作品の解説)
2008/07/26掲載
Work figure (作品図)
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聖三位一体を崇める教皇クレメンス


(San Clemente papa adora la Trinità) 1737-39年頃
488×256cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)

18世紀のイタリアを代表する大画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロが手がけた有名な宗教画作品『聖三位一体を崇める教皇クレメンス』。ニュンフェンブルク城コールフラウエン聖堂のための祭壇画として、ケルン選帝侯クレメンス・アウグストが依頼し制作された本作に描かれるのは、選帝侯と同名の教皇クレメンスが、父なる神、受難者でもある神の子イエス、聖霊の三位を幻視し崇める場面である。≪聖三位一体≫とは神の実体は唯一でありながら、その位格は、この世の全てを創造した父なる神、全人類の罪をその身に背負い磔刑によって償った受難者(神の子)イエス、使徒や人類に命を下す聖霊の3位が同位にて存在するというキリスト教の中でも最も難解な教義で、本作ではその出現を目撃するという奇蹟的瞬間を演劇的に表現しているのが大きな特徴である。画面最上部には頭部のみで表現される天使を伴う父なる神と十字架を担った神の子イエスが神々しい光を放ちながら雲に乗り、天上から降りてくる姿が描かれ、その下には白い鳥の姿をした聖霊と天使らが配されている。画面下部には聖三位の(突然の)出現に驚きの表情を浮かべつつ父なる神らを一心に見上げ、自身が体験する奇蹟を受け入れる教皇クレメンスと、豪華な杖を持った子供の天使が描かれている。歴史上クレメンスの名を冠した教皇はクレメンス5世、7世、対立教皇など複数存在するが、本作に描かれる教皇は選帝侯の権威の象徴としての意味合いが色濃く反映されている。ピアツェッタの劇的な場面表現の影響を残しつつ、眩いほどの輝きを帯びた独自的な光の表現や激しい運動性、重厚かつ写実的でありながらも非現実感と軽快性も見出すことが可能な色彩表現などは、この頃のティエポロの作品の中でも特に秀逸の出来栄えであり、今なお観る者を強く魅了し続けるのである。


【全体図】
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教皇クレメンスの前に現れた父なる神と受難者イエス。ニュンフェンブルク城コールフラウエン聖堂のための祭壇画として、ケルン選帝侯クレメンス・アウグストが依頼し制作された本作に描かれるのは、選帝侯と同名の教皇クレメンスが聖三位を幻視し崇める場面である。



【父なる神と受難者イエスの姿】
眩い光を放つ聖霊。≪聖三位一体≫とは神の実体は唯一でありながら、その位格は、父なる神、受難者(神の子)イエス、聖霊の3位が同位にて存在するというキリスト教の中でも最も難解な教義で、本作ではその出現を目撃するという奇蹟的瞬間を演劇的に表現しているのが大きな特徴である。



【眩い光を放つ聖霊】
一心に聖三位の出現を見上げる教皇クレメンス。歴史上クレメンスの名を冠した教皇はクレメンス5世、7世、対立教皇など複数存在するが、本作に描かれる教皇は選帝侯の権威の象徴としての意味合いが色濃く反映されている。



【聖三位の出現を見上げる教皇】
豪華な杖を持った子供の姿の天使。ピアツェッタの劇的な場面表現の影響を残しつつ、眩いほどの輝きを帯びた独自的な光の表現や激しい運動性、重厚かつ写実的でありながらも非現実感と軽快性も見出すことが可能な色彩表現などは特に秀逸の出来栄えを示している。



【杖を持った子供の姿の天使】

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