Description of a work (作品の解説)
2008/10/17掲載
Work figure (作品図)
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ロレートの聖家の奇蹟


(Volo della Casa cerso Loreto) 1743-1745年頃
124×85cm | 油彩・画布 | アカデミア美術館(ヴェネツィア)

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロが手がけた宗教画における最高傑作のひとつ『ロレートの聖家の奇蹟』。サンタ・マリア・ディ・ナザレート聖堂(通称スカルツィ聖堂)の天井画(第一次大戦時のオーストリア軍による爆撃により現在は焼失)の下絵として制作された本作に描かれる主題は、13世紀末、聖地ナザレが異教徒(イスラム教徒)に侵略され、受胎告知が行われた聖母マリアと夫ヨセフの聖家(Sante Casa)にもその攻撃が及ぼうとした時、突如、天使らが現れイタリアのロレートへと聖家を運び去ったという15世紀イタリア発祥の逸話≪ロレートの聖家の奇蹟≫である。画面中央やや右下に聖家の屋根に座る聖母マリアと床面(注:伝えられる逸話では本来、床の四隅とされている)を支える天使らが描かれ、画面中央やや左上などその周囲には音楽を奏でる楽器を持った天使らが複数配されている。そして画面下部には敵対する武器を手にした異教徒らが描き込まれており、その中の一人はこの常識では計り知れない光景を指差している。本作は下絵である為、大部分がスケッチ的な描写であるものの、本作に示されるティエポロ独特の軽やかで演劇的な浮遊感や、奇蹟的現象による高揚感は秀逸の出来栄えであり、観る者を否応なく感動させる。また天井画として制作された完成版(※これは残されている白黒写真で確認が可能)では、ティエポロの計算された構図展開によってスカルツィ聖堂の天井を横切っているかのような錯覚的な視覚効果が得られていることも特に注目すべき点のひとつである。


【全体図】
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聖家の屋根の上でロレートの方向を指差す聖母マリア。サンタ・マリア・ディ・ナザレート聖堂の天井画の下絵として制作された本作に描かれる主題は、13世紀末、聖地ナザレが異教徒に侵略され、聖家にもその攻撃が及ぼうとした時、突如、天使らが現れイタリアのロレートへと聖家を運び去ったという15世紀イタリア発祥の逸話≪ロレートの聖家の奇蹟≫である。



【聖家の屋根の上で指差す聖母マリア】
聖家を持ち上げ運び去る天使たち。本作は下絵である為、大部分がスケッチ的な描写であるものの、本作に示されるティエポロ独特の軽やかで演劇的な浮遊感や、奇蹟的現象による高揚感は秀逸の出来栄えであり、観る者を否応なく感動させる。



【聖家を持ち上げ運び去る天使たち】
音楽を奏でる楽器を手にした天使たち。天井画として制作された完成版では、ティエポロの計算された構図展開によってスカルツィ聖堂の天井を横切っているかのような錯覚的な視覚効果が得られていることも特に注目すべき点のひとつである。



【音楽を奏でる楽器を手にした天使】

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