2008/05/25掲載
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東方三博士の礼拝(Adorazione dei Magi) 1753年408×210.5cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク
聖母マリアに抱かれる神の子イエスと、礼拝するカスパル。本作に描かれる主題は、神の子イエスの降誕を告げる新星を発見した東方の三人の王が、エルサレムでヘロデ王にその出生地を聞いた後、星に導かれベツレヘムの地で幼子イエスを礼拝する場面≪東方三博士の礼拝≫である。
【神の子イエスと、礼拝するカスパル】
神々しい光に包まれる聖母マリア。聖母の背後には聖ヨセフが配されており、画面中央では東方三博士(三王)の中で長老格の王である(アジアを指す)カスパルが、降誕した神の子イエスに寄り添い礼拝している。
【神々しい光に包まれる聖母マリア】
演劇性の高い本作の独特な場面表現。ヴェロネーゼに倣う大画面による装飾性豊かで個性的な場面表現は、宗教画としてはやや感情的であるものの、この演劇性こそ画家の最も注目すべき特徴であり、観る者を強く魅了するのである。
【演劇性の高い本作の独特な場面表現】 拝謁を心待ちにする黒人の王でアフリカを指すバルタザール。神の子イエスを中心に聖母マリアとカスパルへ最も強い光が当てられており、この華やかで明度の高いティエポロ独特の光彩表現は、両者の劇的な出会いの瞬間を盛り上げる効果を存分に発揮している。
【拝謁を心待ちにするバルタザール】 |