Description of a work (作品の解説)
2008/05/25掲載
Work figure (作品図)
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東方三博士の礼拝

 (Adorazione dei Magi) 1753年
408×210.5cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ、ドイツ滞在期(1751-53年)を代表する宗教画作品のひとつ『東方三博士の礼拝』。本作はヴュルツブルク司教館の装飾画を制作する為に訪れていたドイツ滞在時に、シュヴァルツアッハの修道院の祭壇画として制作された作品である。ヴュルツブルク司教館はフレスコで制作されたものの、同地は高湿度のために夏季しか装飾制作をおこなうことができず、ティエポロはそれ以外の季節(秋〜冬)に油彩画を数点手がけおり、本作はその中でも特に代表作に数えられる1点である。本作に描かれる主題は、神の子イエスの降誕を告げる新星を発見した東方の三人の王(一般的にはメルヒオール、カスパル、バルタザールとされる)が、エルサレムでヘロデ王にその出生地を聞いた後、星に導かれベツレヘムの地で幼子イエスを礼拝し、黄金、乳香、没薬の3つの贈り物を捧げる場面≪東方三博士の礼拝≫で、画面右側部分には聖母マリアに抱かれる幼子イエスが、聖母の背後には聖ヨセフが配されている。画面中央では東方三博士(三王)の中で長老格の王である(アジアを指す)カスパルが、降誕した神の子イエスに寄り添い礼拝しており、その後ろでは青年の王で欧州を指すメルヒオールと黒人の王でアフリカを指すバルタザールが神の子への拝謁を心待ちにしている。神の子イエスを中心に聖母マリアとカスパルへ最も強い光が当てられており、この華やかで明度の高いティエポロ独特の光彩表現は、両者の劇的な出会いの瞬間を盛り上げる効果を存分に発揮している。さらにルネサンスヴェネツィア派の画家ヴェロネーゼに倣う大画面による装飾性豊かで個性的な場面表現は、宗教画としてはやや感情的であるものの、この演劇性こそ画家の最も注目すべき特徴であり、観る者を強く魅了するのである。


【全体図】
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聖母マリアに抱かれる神の子イエスと、礼拝するカスパル。本作に描かれる主題は、神の子イエスの降誕を告げる新星を発見した東方の三人の王が、エルサレムでヘロデ王にその出生地を聞いた後、星に導かれベツレヘムの地で幼子イエスを礼拝する場面≪東方三博士の礼拝≫である。



【神の子イエスと、礼拝するカスパル】
神々しい光に包まれる聖母マリア。聖母の背後には聖ヨセフが配されており、画面中央では東方三博士(三王)の中で長老格の王である(アジアを指す)カスパルが、降誕した神の子イエスに寄り添い礼拝している。



【神々しい光に包まれる聖母マリア】
演劇性の高い本作の独特な場面表現。ヴェロネーゼに倣う大画面による装飾性豊かで個性的な場面表現は、宗教画としてはやや感情的であるものの、この演劇性こそ画家の最も注目すべき特徴であり、観る者を強く魅了するのである。



【演劇性の高い本作の独特な場面表現】
拝謁を心待ちにする黒人の王でアフリカを指すバルタザール。神の子イエスを中心に聖母マリアとカスパルへ最も強い光が当てられており、この華やかで明度の高いティエポロ独特の光彩表現は、両者の劇的な出会いの瞬間を盛り上げる効果を存分に発揮している。



【拝謁を心待ちにするバルタザール】

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