Description of a work (作品の解説)
2008/07/04掲載
Work figure (作品図)
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オリーブ山のキリスト(ゲッセマネの園、ゲッセマネの祈り)

 (Cristo nell'orto) 1745-50年頃
79×90cm | 油彩・画布 | ハンブルグ美術館

18世紀イタリア美術界において最大の巨匠として君臨する偉大なる画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロを代表する宗教画作品のひとつ『オリーブ山のキリスト(ゲッセマネの園、ゲッセマネの祈り)』。本作に描かれる主題は、キリスト十二使徒とおこなった最後の晩餐の後、弟子の筆頭である聖ペトロ、漁師ゼペダイとサロメの子で激しい気性からボアネルゲス(雷の子の意)と呼ばれた聖大ヤコブ、そして主イエスが弟子の中で最も愛したとされる聖ヨハネを連れ、ゲッセマネのオリーブ山(橄欖山)に赴き、父なる神へ「この杯を取り除けてください」と、自らに降りかからんとする苦難(受難)を退けるよう祈りを捧げる場面≪オリーブ山の祈り(ゲッセマネの園やゲッセマネの祈りとも呼ばれる)≫である。画面中央やや左寄りに描かれるオリーブ山(橄欖山)の頂上では、父なる神に祈りを捧げる受難者イエスを、(受難を意味する)杯を手にした天使が父なる意思を伝え諭すかのように視線を向けながら抱きかかえている。画面下部には眠りの誘惑に負けてしまった聖ペトロ、聖大ヤコブ、聖ヨハネが深い眠りについている。そして画面右部分には裏切り者ユダを道案内に、受難者イエスを逮捕する為にオリーブ山(橄欖山)へと歩みを進めるローマ兵士や司祭らが迫る様子が描かれている。画面中で最も明瞭で劇的な光に包まれる受難者イエスと天使の精神性深い表現や、受難者イエスへと迫るローマ兵士らの高ぶる感情表現、それらとは対照的に深い影に包まれる三人の弟子らの静寂的な雰囲気の描写などはティエポロの最も特徴的な表現的特長であり、画家独特の軽快で瑞々しい筆触による描写的効果との相乗によって、観る者に強い感銘と感情移入を促している。


【全体図】
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杯を手にする天使に抱かれた受難者イエス。本作に描かれる主題は、弟子の聖ペトロ、聖大ヤコブ、聖ヨハネを連れ、ゲッセマネのオリーブ山に赴き、父なる神へ自らに降りかからんとする苦難を退けるよう祈りを捧げる場面≪オリーブ山の祈り≫である。



【天使に抱かれた受難者イエス】
深い眠りにつく主イエスの三人の弟子。画面下部には眠りの誘惑に負けてしまった聖ペトロ、聖大ヤコブ、聖ヨハネが深い眠りにつく姿が、画面右部分には裏切り者ユダを道案内に、受難者イエスを逮捕する為にオリーブ山(橄欖山)へと歩みを進めるローマ兵士や司祭らが迫る様子が描かれている。



【深い眠りにつく主イエスの三人の弟子】
受難者イエスを逮捕する為に訪れたローマ兵士や司祭。画面中で最も明瞭で劇的な光に包まれる受難者イエスと天使の精神性深い表現や、受難者イエスへと迫るローマ兵士らの高ぶる感情表現などはティエポロの最も特徴的な表現的特長である。



【イエスの逮捕に訪れた兵士や司祭】

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