2009/06/13掲載
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聖ヨハネス・ネポムクの前に現れる聖母子(The Virgin appearing to Saint John Nepomuk) 1754年 346×145cm | 油彩・画布 | サン・ポーロ聖堂(ヴェネツィア) 聖ヨハネス・ネポムクの前に現れる聖母子の重厚な表現。ヴェネツィアのサン・ポーロ聖堂の祭壇画として制作された本作は、14世紀ボヘミアのネポムクで生まれたキリスト教の司祭で、当時の欧州随一の規模を誇っていたプラハの聖堂参事会員の職に就いていた聖ヨハネス・ネポムクが聖母マリアと幼子イエスを幻視する奇跡的体験の姿を描いた作品である。
【聖母子の重厚な表現】
明瞭な光に包まれる聖ヨハネス・ネポムク。当時の国王ウェンケスラウス4世の妻の告解(ゆるしの秘跡、懺悔の意味)の秘密を、国王の命があっても漏らさなかった為に殺害された殉教者としてもよく知られる聖ヨハネス・ネポムクは本作のほぼ中央に配され、その左手には大きな十字架が握られている。
【光に包まれる聖ヨハネス・ネポムク】
周囲に配される頭部のみの天使たち。本作で最も注目すべき点は、純的ながら重厚感と多様性に溢れる色彩描写とドラマチックな光彩表現にあり、特に聖ヨハネス・ネポムクの輝きを帯びた光の表現と、やや逆光気味の陰影に隠れた聖母子の濃密な表現との明暗的対比は圧巻の一言である。
【周囲に配される頭部のみの天使たち】 |