Description of a work (作品の解説)
2008/12/26掲載
Work figure (作品図)
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聖痕を受ける聖フランチェスコ

 1767-69年頃
(Saint Francis of Assisi Receiving the Stigmata)
278×153cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

18世紀イタリア絵画界における最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ最晩年の代表的作品のひとつ『聖痕を受ける聖フランチェスコ』。ティエポロが晩年に滞在したスペインの地で制作された本作に描かれる主題は、清貧・純潔・服従を信仰の旨とすることでも知られる名高きフランシスコ会の創始者であるアッシジの聖フランチェスコが、アルヴェルナ山での隠棲生活で50日間の断食をおこなった際、脱魂体験と同時に6翼の熾天使(セラフィム)を通じて、主イエスと同位置に聖痕を受けたとされる逸話≪聖痕を受ける聖フランチェスコ(聖痕拝受)≫である。画面中央やや右下に配される聖フランチェスコは、50日間もの断食をおこなったが故にその姿は窶れ、表情も鬼気迫るような印象を受けるが、その視線の先(聖フランチェスコの対角線上)には6翼の熾天使(セラフィム)が配されており、聖なる光が聖フランチェスコの掌(イエスが磔刑に処された際に掌へ打たれた釘の痕)と脇腹(イエスが死の確認の為にローマ兵士長ロンギヌスによって刺された脇腹の傷)に刻まれた聖痕を指し示している。己の身体に刻まれる奇積に感極まる聖フランチェスコの傍らには非常に端整な天使が寄り添うように配されており、天使が浮かべる慈しみに満ちた穏やかな表情は、この感動的な場面をより盛り上げている。表現様式的にはティエポロ晩年期の特徴となるやや重厚な色彩描写が良く示されているが、夜の情景に用いられた、吸い込まれるかのような深く複雑な青色は、6翼の熾天使(セラフィム)が放つ神々しい光の色彩(黄色)と見事な対比を見せており、画家の衰えを知らぬ自己を突き通した崇高な絵画表現を見出すことができる。


【全体図】
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奇積に感極まる聖フランチェスコの姿。本作に描かれる主題は、アッシジの聖フランチェスコが、アルヴェルナ山での隠棲生活で50日間の断食をおこなった際、脱魂体験と同時に6翼の熾天使(セラフィム)を通じて、主イエスと同位置に聖痕を受けたとされる逸話≪聖痕を受ける聖フランチェスコ≫である。



【奇積に感極まる聖フランチェスコ】
聖フランチェスコを抱きかかえる天使。夜の情景に用いられた、吸い込まれるかのような深く複雑な青色は、6翼の熾天使(セラフィム)が放つ神々しい光の色彩(黄色)と見事な対比を見せており、画家の衰えを知らぬ自己を突き通した崇高な絵画表現を見出すことができる。



【聖フランチェスコを抱きかかえる天使】
聖フランチェスコの身体に聖痕を刻む熾天使。聖フランチェスコの視線の先には6翼の熾天使(セラフィム)が配されており、聖なる光が聖フランチェスコの掌と脇腹(イエスが死の確認の為にローマ兵士長ロンギヌスによって刺された脇腹の傷)に刻まれた聖痕を指し示している。



【聖痕を刻む6翼の熾天使】

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