Description of a work (作品の解説)
2009/04/24掲載
Work figure (作品図)
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ペストからエステを救う聖テクラ

 1758-59年
(Saint Tecla interceling for plague-Stricken)
675×390cm | 油彩・画布 | エステ大聖堂

18世紀イタリアにおける最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ晩年期の傑作『ペストからエステを救う聖テクラ』。エステ大聖堂の祭壇装飾画として制作された本作は、エステ地方で猛威を振るったペスト病の患者を介抱しながら父なる神に疫病を退けるよう祈りを捧げる(同地方で信仰されていた1世紀の処女殉教者)≪聖テクラ≫を描いた作品である。画面下部左側には両手を合わせ天上を見上げる聖テクラが配されており、その表情は神の顕示という奇跡的体験に感動しているかのようであり、父なる神を見上げるその面立ちは非常に美しい。画面右側には無念にもペストに倒れ天に召された女性が描かれているが、その傍らで(おそらくはこの女性の娘であろう)幼い少女が母親に縋りつきながら涙を流す姿は、観る者の心を掻き乱すほどの悲痛に満ちている。そして画面下部中央へはペストによる街の惨状を嘆き苦しむ民衆が感情豊かに描かれている。画面上部には複数の天使らを伴いながら天上から降臨し、ペスト(本作では画面中央へ擬人化された姿で表現されている)を退ける父なる神が威厳高く配されている。本作で最も注目すべき点は宗教的主題に対する劇的かつ格調の高い表現と、深刻な場面描写による深い精神的表現にある。特に画面右下の死した母親と娘の姿や、対角線上に配される聖テクラと父なる神との奇跡的対面は宗教画としての精神的感情性を見事に表現している。また研究者などから指摘されている本作の新古典主義的な性格も特筆すべき点である。


【全体図】
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父なる神の降臨を一心に見つめる聖テクラ。エステ大聖堂の祭壇装飾画として制作された本作は、エステ地方で猛威を振るったペスト病の患者を介抱しながら父なる神に疫病を退けるよう祈りを捧げる(同地方で信仰されていた1世紀の処女殉教者)≪聖テクラ≫を描いた作品である。



【父なる神を一心に見つめる聖テクラ】
天使らを伴いながら天上から降臨する父なる神。本作で最も注目すべき点は宗教的主題に対する劇的かつ格調の高い表現と、深刻な場面描写による深い精神的表現にあり、特に画面右下の死した母親と娘の姿や、対角線上に配される聖テクラと父なる神との奇跡的対面は宗教画としての精神的感情性を見事に表現している。



【天上から降臨する父なる神】
ペストに倒れた母親と傍らで泣く子供。画面右側には無念にもペストに倒れ天に召された女性が描かれているが、その傍らで(おそらくは娘であろう)幼い少女が母親に縋りつきながら涙を流す姿は、観る者の心を掻き乱すほどの悲痛に満ちている。



【ペストに倒れた母親と傍らで泣く子供】

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