Description of a work (作品の解説)
2008/06/13掲載
Work figure (作品図)
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十字架の道行き(十字架を担うキリスト)


(The way to galvary) 1738-1740年頃
450×517cm | 油彩・画布 | サンタルヴィーゼ聖堂

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロを代表する宗教画作品のひとつ『十字架の道行き(十字架を担うキリスト)』。ヴェネツィアのサンタルヴィーゼ聖堂のために制作された本作に描かれる主題は、弟子であるイスカリオテのユダの裏切りによってローマ兵士やユダヤの司祭たちに逮捕された受難者イエスが、下された磔刑を執行される為に、己の身が掲げられることになる木製の十字架を自ら背負い、処刑所であるゴルゴタの丘への道を進む≪十字架を担うキリスト≫である。画面中央下部に岩盤の上で自らが背負う十字架の重さに潰され這い蹲る受難者イエスの姿が描かれており、その表情は疲労と苦悶の表情に満ちている。肌の質感は、まるで死者のように生命力を失い蒼白い光を反射している。這い蹲る受難者イエスの上方には、イエスの疲労感溢れる肉体とは対照的な筋骨隆々の男ふたりが、イエスの背負う十字架を引いており、手前の男は受難者イエスへと視線を向けている(奥の男は画面左側に配される受難者イエスと共に磔刑に処された二人の盗賊の中のひとり善き盗賊ディスマの方へと視線を向けている)。画面右下には十字架を担う受難者イエスの汗を拭ったとされる聖ヴェロニカが布を広げており、その布には逸話としても語られるよう受難者イエスの顔が写っている。そして画面上部には(処刑場となる)ゴルゴタの丘の上ではユダヤの司祭たちが受難者イエスと二人の盗賊を待ち構えている姿が描かれている。画家の様式的特徴となる軽快な筆触によって、本作の独特の光と輝くような色彩に満ちた人物の描写や、ドラマチックな印象を強く感じさせる感情性に溢れた場面表現がより強調されており、この相乗的効果こそティエポロ作品の最も大きな魅力のひとつである。


【全体図】
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十字架を担う受難者イエスの疲労と苦悶に満ちた表情。画面中央下部に岩盤の上で自らが背負う十字架の重さに潰され這い蹲る受難者イエスの姿が描かれており、その表情は疲労と苦悶の表情に満ちている。肌の質感は、まるで死者のように生命力を失い蒼白い光を反射している。



【イエスの疲労と苦悶に満ちた表情】
十字架を引く筋骨隆々の男たち。ヴェネツィアのサンタルヴィーゼ聖堂のために制作された本作に描かれる主題は、受難者イエスが、己の身が掲げられることになる木製の十字架を自ら背負い、処刑所であるゴルゴタの丘への道を進む≪十字架を担うキリスト≫である。



【十字架を引く筋骨隆々の男たち】
主イエスの顔を拭った布を広げる聖ヴェロニカ。画面右下には十字架を担う受難者イエスの汗を拭ったとされる聖ヴェロニカが布を広げており、その布には逸話としても語られるよう受難者イエスの顔が写っている。



【布を広げる聖ヴェロニカ】
ゴルゴタの丘の上に立つユダヤの司祭たち。画家の様式的特徴となる軽快な筆触によって、本作の独特の光と輝くような色彩に満ちた人物の描写や、ドラマチックな印象を強く感じさせる感情性に溢れた場面表現がより強調されている。



【ゴルゴタの丘に立つユダヤの司祭たち】

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