Description of a work (作品の解説)
2008/01/15掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィアの祝宴

 (Fêtes vénitiennes) 1717年頃
56×46cm | 油彩・画布 | スコットランド王立美術館

ロココ美術を代表する巨匠アントワーヌ・ヴァトーによる芝居画の傑作のひとつ『ヴェネツィアの祝宴』。かつて画家の最初の伝記作家として知られるジュリエンヌが所蔵していた8点のヴァトー作品の中の1点であり、当時は『舞踏会(又はヴェネツィアの舞踏会)』と題されていた本作は、当時上演されていたカンブラ作曲、ダンシェ台本による人気のオペラ・バレエ『ヴェネツィアの祝宴(1710年初演)』に着想を得て制作された作品だと考えられている。画面中央では、水霊の彫像が置かれる宮殿(又は城内)の庭でダンスを始めようと若い女性が、ドレスを摘み上げ相手に軽く会釈している。その視線の先には異国的(東洋的)な衣服を身に着ける相手の男性が足を広げ立っている。この二人には明らかな描き直し(修正)の痕跡(女性はドレスの裾部分、男性は両足部分)が残されており、特に男性に関しては当初は若々しく痩せた姿で描かれていたとされている。また彼女を囲むかのように16人の男女が配されており、各々会話を楽しむなど本作の優雅な雰囲気をより盛り上げている。そして雅宴画(フェート・ギャラント)としては珍しく、本作には幼児や犬の姿が描かれていない点は注目すべき点のひとつである。表現手法を考察してみても、大胆ながら繊細な動きも見せる筆触や、登場人物の性格を感じさせる愉快で躍動的な人体描写、水霊の彫像の豊潤で優雅な身のこなし姿、(画家の特徴的な)メランコリックな空気も感じられる独特の色彩描写などに、画家の豊かな画才と卓越した技量を見出すことができる。


【全体図】
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ダンス相手に会釈する若い女性。画面中央では、水霊の彫像が置かれる宮殿(又は城内)の庭でダンスを始めようと若い女性が、ドレスを摘み上げ相手に軽く会釈している。その視線の先には異国的(東洋的)な衣服を身に着ける相手の男性が足を広げ立っている。



【ダンス相手に会釈する若い女性】
会話を楽しむ男女の姿。異国的な衣服を身に着ける恰幅の良い男とダンスを始めようとしている女性を囲むかのように、本作には16人の男女が配されており、各々会話を楽しむなど本作の優雅な雰囲気をより盛り上げている。



【会話を楽しむ男女の姿】
笛を手にダンスの開始を待つ楽士。かつてジュリエンヌが所蔵していた8点のヴァトー作品の中の1点であり、当時は『舞踏会』と題されていた本作は、当時上演されていたカンブラ作曲、ダンシェ台本による人気のオペラ・バレエ『ヴェネツィアの祝宴』に着想を得て制作された作品だと考えられている。



【笛を手にダンスの開始を待つ楽士】
豊潤で優雅な身のこなしの水霊の彫像。大胆ながら繊細な動きも見せる筆触や、登場人物の性格を感じさせる愉快で躍動的な人体描写、(画家の特徴的な)メランコリックな空気も感じられる独特の色彩描写も本作の大きな見所のひとつである。



【豊潤で優雅な身のこなしの水霊の彫像】

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