Description of a work (作品の解説)
2008/10/27掲載
Work figure (作品図)
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砂遊びをする子供

 (L'Enfant au pâté) 1894年頃
165×50cm | 泥絵具・画布 | オルセー美術館(パリ)

画家仲間たちからはナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ、日本的なナビ)と呼ばれるほど日本趣味に高い興味を示していたナビ派の重要な画家ピエール・ボナールの、その日本趣味への傾倒が如実に示された代表的作例のひとつ『砂遊びをする子供』。日本の掛軸を容易に連想させるほど、横幅の3倍以上縦に長い画面で制作された本作は、道端で砂遊びをする子供の情景を描いた作品で、本作は本来、≪田舎のアンサンブル(現在はニューヨーク近代美術館が所蔵)≫と呼ばれた3幅対の作品群と共に4枚組みの衝立パネルとして構成されていた作品のひとつであったものの、後にボナール自身の手によって切り離され現在のように独立した作品として扱われるようになった。画面下部には、まるで和服を思わせるような特徴的な衣服を着た幼いおかっぱ頭の子供が、小さなシャベルで砂を掬いバケツに入れる後ろ姿でひとり離されるかのように独立して配され、画面上部には何処かの建物の入り口へと続く階段と、綺麗に丸く刈り込まれた背の低い木の植え込みが配されている。大胆にとられた余白部分や陰影感の乏しい平面的かつ装飾的な表現、精神性を醸し出す独特で特徴的な空間構成は明らかに日本美術の影響であり、画家の日本美術に対する熱烈な傾倒とその研究を如実に感じさせる。特に画面下部の砂遊びに熱中する子供の後姿の抒情性や装飾的描写は観る者の心情に強く訴えかけてくる。またデトランプ(テンペラの一種、泥絵具)と呼ばれる独特の素材を用いて描写される抑えられた抑制的な色彩の繊細な表現も本作の大きな特徴であり、特に注目すべき点のひとつである。

関連:ニューヨーク近代美術館所蔵 『田舎のアンサンブル』


【全体図】
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砂遊びに熱中するおかっぱ頭の子供。本作は本来、≪田舎のアンサンブル(現在はニューヨーク近代美術館が所蔵)≫と呼ばれた3幅対の作品群と共に4枚組みの衝立パネルとして構成されていた作品のひとつであったものの、後にボナール自身の手によって切り離され現在のように独立した作品として扱われるようになった。



【砂遊びに熱中するおかっぱ頭の子供】
綺麗に丸く刈り込まれた背の低い木。大胆にとられた余白部分や陰影感の乏しい平面的かつ装飾的な表現、精神性を醸し出す独特で特徴的な空間構成は明らかに日本美術の影響であり、画家の日本美術に対する熱烈な傾倒とその研究を如実に感じさせる。



【綺麗に丸く刈り込まれた背の低い木】
建物の入り口へと続く階段。デトランプ(テンペラの一種、泥絵具)と呼ばれる独特の素材を用いて描写される本作の、抑えられた抑制的な色彩の繊細な表現も大きな特徴であり、特に注目すべき点のひとつである。



【建物の入り口へと続く階段】

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