Description of a work (作品の解説)
2008/11/12掲載
Work figure (作品図)
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朝食の部屋(庭に面した食堂)


(La Salle à manger sur le jardin) 1930-31年頃
159.6×113.8cm | 油彩・画布 | ニューヨーク近代美術館

親密派(アンティミスム)を代表する画家ピエール・ボナールの傑作『朝食の部屋(庭に面した食堂)』。本作は1930年代初頭にボナールが数多く手がけた正面からの視点による室内生活空間を物語性が希薄に描いた親密派的室内画のひとつである。画面下部の最前景には薄青い太縞模様のテーブルクロスとそこに配される朝食が描かれており、画面中央から上部にかけては、ほぼ画面の半分を使用し大きな窓と木の窓枠が大胆に描かれている。そしてその左側はカップを手にしたひとりの人物の半身が突如現れたかのように配されている。本作で最も注目すべき点は、溢れんばかりの豊かで非現実的な色彩の表現と独自的画面構成にある。本作では画家が19世紀末にナビ派として活躍していた頃の総合主義的な象徴的表現は影を潜め、むしろその時代には否定し続けていた印象派的な光と色彩に溢れている。特に上部に向かうにつれ大胆に変化してゆく窓枠や、その左側に配される紫色の壁紙、窓(テラス)の奥に見える風景などの多様的で幻想的な色彩表現は観る者の目を強く惹きつける。しかしながら本作に示される明確な左右の対称性や垂直を強調する窓枠の描写、堅牢的な画面構成などは印象派の展開と明らかに一線を画すものであり、ここにボナールの絵画表現における独自性や、内面的世界観を見出すことができる。また表現手法に目を向けてみても、乱暴にすら感じさせる荒々しく短径的な筆致や震えるような筆触も画家の表現様式の大きな特徴であり、本作で特に注目すべき点のひとつである。


【全体図】
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テーブルクロスの上に配される朝食。画面下部の最前景には薄青い太縞模様のテーブルクロスとそこに配される朝食が描かれており、画面中央から上部にかけては、ほぼ画面の半分を使用し大きな窓と木の窓枠が大胆に描かれている。



【テーブルクロスの上に配される朝食】
窓(テラス)の奥に見える色彩豊かな風景。本作では画家が19世紀末にナビ派として活躍していた頃の総合主義的な象徴的表現は影を潜め、むしろその時代には否定し続けていた印象派的な光と色彩に溢れている。



【テラスの奥に見える色彩豊かな風景】
画面左側に配される人物の半身。本作に示される明確な左右の対称性や垂直を強調する窓枠の描写、堅牢的な画面構成などは印象派の展開と明らかに一線を画すものであり、ここにボナールの絵画表現における独自性や、内面的世界観を見出すことができる。



【画面左側に配される人物の半身】

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