2008/06/26掲載
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田舎の食堂(Salle à manger à la campagne) 1913年168×204cm | 油彩・画布 | ミネアポリス美術研究所
窓辺に寄り掛かる赤い衣服を着た人物。それまでのボナールの作品は色彩を最も重要視し、そこに発生する偶発的な色彩効果を絵画表現の核としていたものの、本作では絵画の基礎とも言える形態描写≪デッザン≫への取り組みと、それによる堅固な構図の構成を感じることができる。
【窓辺に寄り掛かる人物】 やや重く強い赤味を帯びた壁の色彩。入念なデッザンによって的確かつ計算的に描かれた構成要素とその配置は、このふたつの空間、近景として描かれる部屋の壁のやや重く強い赤味を帯びた色彩と、中〜遠景として描かれる庭先の黄色味を帯びた緑色の明るさを存分に感じさせる色彩との対比をより効果的なものとしている。
【やや重く強い赤味を帯びた壁の色彩】 薄青色の円卓の上に置かれた食事。色彩の多様性という点ではそれまでのボナールの絵画様式を踏襲したものであるものの、この計算された要素の配置や配色は画家が本作で新たに見出した最も重要な特徴であり、その後のボナールの作品制作に大きな影響を与えた。
【薄青色の円卓の上に置かれた食事】 |