Description of a work (作品の解説)
2009/03/23掲載
Work figure (作品図)
■ 

午睡

 (La Sieste) 1899-1900年
109×132cm | 油彩・画布 | ヴィクトリア国立美術館

親密派(アンティミスム)随一の画家ピエール・ボナール初期の代表作『午睡』。画家がナビ派として最も活躍していた19世紀末から20世紀初頭にかけて制作された本作は、散乱したベッドの上に横たわる裸婦を描いた作品である。画面の中央へほぼ水平に配される、あからさまに性的行為後を連想させる乱れたベッドの上の裸婦は、全身を脱力させながらうつ伏せに横たわりながら眠りについており、そのあられもない姿には否が応にも親密な男性の存在を感じさせる。この裸婦の極めてエロティックな姿態は、ルーヴル美術館に所蔵される彫像≪まどろむヘルマフロディトス≫に典拠を得たものであるが、そこには自然主義的な思想や表現が顕著に表れている。また腰から臀部にかけて当てられる鮮烈でありながら柔和性をも感じさせる光彩の描写と、上半身部分の深い陰影表現には閉ざされた空間(室内)ならではの密接的な印象を観る者に与える。さらに画面下部には一匹の犬が配されており、ここに18世紀半ばの都市流行に対する郷愁性を見出すことができる。本作の観察的表現手法に注目しても、波打つかのような裸婦の緩やかな曲線や寝具の厚ぼったい皺の描写に画家の客観性と鋭い観察眼が示されるほか、頭部近くの机の上に置かれる雑貨に親密派たる日常性も感じることができる。なおボナールは同時期に(現在はオルセー美術館に所蔵される)『けだるさ(ベッドでまどろむ女、しどけない女)』という裸婦作品も制作しており、こちらの挑発的な裸婦展開と本作の自然体的な性的展開の対比も特に注目されている。

関連:オルセー美術館所蔵 『けだるさ』


【全体図】
拡大表示
ベッドの上で眠る裸婦の姿。画面の中央へほぼ水平に配される、あからさまに性的行為後を連想させる乱れたベッドの上の裸婦は、全身を脱力させながらうつ伏せに横たわりながら眠りについており、そのあられもない姿には否が応にも親密な男性の存在を感じさせる。



【ベッドの上で眠る裸婦の姿】
緩やかな曲線が特徴的な裸婦の臀部。裸婦の極めてエロティックな姿態は、ルーヴル美術館に所蔵される彫像≪まどろむヘルマフロディトス≫に典拠を得たものであるが、そこには自然主義的な思想や表現が顕著に表れている。



【緩やかな曲線が特徴的な裸婦の臀部】
あからさまに性的行為後を連想させる乱れたベッドの上。腰から臀部にかけて当てられる鮮烈でありながら柔和性をも感じさせる光彩の描写と、上半身部分の深い陰影表現には閉ざされた空間(室内)ならではの密接的な印象を観る者に与える。



【乱れたベッドの上】
画面下部に描き込まれる一匹の犬。波打つかのような裸婦の緩やかな曲線や寝具の厚ぼったい皺の描写に画家の客観性と鋭い観察眼が示されるほか、頭部近くの机の上に置かれる雑貨に親密派たる日常性も感じることができる。



【画面下部に描き込まれる一匹の犬】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ