Description of a work (作品の解説)
2009/04/17掲載
Work figure (作品図)
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プリウレ前の自画像


(Autoportrait devant le Prieuré) 1921年
71×78cm | 油彩・画布 | プリウレ美術館

ナビ派随一の理論派モーリス・ドニ後年期を代表する作品のひとつ『プリウレ前の自画像』。本作は画家が幼少期にも住んでいたイル・ド・フランス地域圏サン=ジェルマン=アン=レのプリウレの自宅兼アトリエの庭先を舞台に制作された自画像作品である。1919年にドニは最愛の妻マルト・ムーリエを病で亡くしており、幼い子供たちのこともあって意気阻喪状態であったが、その2年後となる1921年に聡明で感受性豊かなエリザベツ・グラトロールと知り合い、エリザベツにマルトの面影を見出しながら彼女の聡明で感受性豊かな様子に惹かれ、再び未来への希望を抱くに至ったという経緯のもとで本作は制作されている。画面中央に大きく描かれるドニ自身の表情は、実直ながら非常に力強い生命力に溢れており、特に瞳の活力的な描写には確固たる決心を見出すことができる。また右手にはペンを、左手にはエスキス帳を手にしていることからも、ドニの絵画に対する情熱の復活が感じられる。ドニの背後に描かれる庭先や階段部分には(ドニとエリザベツの仲を快く認めた)画家の子供たちの姿が配され、さらに画面上部右側のテラスにはマルトがエリザベツを抱擁する姿が描き込まれており、死したマルトもエリザベツを認めてくれるだろうとのドニの考えも反映されている。なお本作を完成させた翌1922年初頭にドニとエリザベツは正式に結婚している。


【全体図】
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真摯で力強い眼差しを向けるドニの姿。画面中央に大きく描かれるドニ自身の表情は、実直ながら非常に力強い生命力に溢れており、特に瞳の活力的な描写には確固たる決心を見出すことができる。



【真摯で力強い眼差しを向けるドニの姿】
抱擁し合うマルトとエリザベツ。画面上部右側のテラスにはマルトがエリザベツを抱擁する姿が描き込まれており、死したマルトもエリザベツを認めてくれるだろうとのドニの考えも反映されており、本作を完成させた翌1922年初頭にドニとエリザベツは正式に結婚している。



【抱擁し合うマルトとエリザベツ】
庭先で遊ぶ画家の子供たち。本作はマルトの死後に出会ったエリザベツ・グラトロールに、マルトの面影を見出しながら彼女の聡明で感受性豊かな様子に惹かれ、再び未来への希望を抱くに至ったという経緯のもとで制作されている。



【庭先で遊ぶ画家の子供たち】

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