Description of a work (作品の解説)
2009/02/04掲載
Work figure (作品図)
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聖母の接吻(輝く大天使・聖母の接吻・アダムとイブの楽園追放)

 (La Vierge au baiser) 1918年頃
各259×53cm | グワッシュ・紙 | プリウレ美術館

ナビ派の重要な画家モーリス・ドニを代表する宗教画作品のひとつ『聖母の接吻(輝く大天使・聖母の接吻・アダムとイブの楽園追放)』。モーリス・ドニが幼少期と晩年期に居住していたサン=ジェルマン=アン=レ地方にあるプレウリ礼拝堂の側面大窓のステンドグラス用の画稿として制作された本作は、画面上部に聖母マリアが大天使ガブリエルより聖胎を告げられる場面≪受胎告知≫、画面中央に幼子イエスを抱く聖母マリアを配した≪聖母子≫、画面下部には最初の人間アダムと、アダムの肋骨から創造された最初の女性イブ(エヴァ)が禁断の果実を口にした故に父なる神の怒りを買い、炎の剣を手にする大天使ケルビムによって楽園を追放されるという旧約聖書に記された場面≪楽園追放≫と3つの場面から構成される宗教画である。画面上部に描かれる≪受胎告知≫では右側に神の子イエスの受胎を告げる大天使ガブリエルが、左側には聖胎を貞淑に受け入れる聖母マリアが静謐な姿で描かれており、観る者に神聖な印象を与えることに成功している。中央に描かれる聖母子の姿も母性と聖性が見事に調和しており、ナビ派随一の宗教画家としての側面を顕著に感じることができる(※聖母マリアには最愛の妻マルトの面影が色濃く反映していることも特に注目すべき点である)。さらに画面下部の≪楽園追放≫では、左側に炎の剣を振りかざす大天使ケルビムが威厳に満ちた姿で神々しく描写されており、右側に配されたアダムとイブ(エヴァ)の恐怖と悲痛に満ちた表情と絶妙な感情的対比を示している。全体的な表現としては初期ルネサンス様式に通じる謳歌性と古典性に溢れているが、明確な輪郭線や透明感に溢れる豊かで多様的な色彩には画家の類稀な個性を強く感じる。


【全体図】
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神の子イエスの受胎を貞淑に受け入れる聖母マリア。画面上部に描かれる≪受胎告知≫では右側に神の子イエスの受胎を告げる大天使ガブリエルが、左側には聖胎を貞淑に受け入れる聖母マリアが静謐な姿で描かれており、観る者に神聖な印象を与えることに成功している。



【受胎を貞淑に受け入れる聖母マリア】
最愛の妻マルトの面影が残る聖母マリアの柔らかい表情。本作はモーリス・ドニが幼少期と晩年期に居住していたサン=ジェルマン=アン=レ地方にあるプレウリ礼拝堂の側面大窓のステンドグラス用の画稿として制作された作品である。



【妻マルトの面影が残る聖母の表情】
楽園から追放されるアダムとイブの悲痛的な姿。画面下部の≪楽園追放≫では、左側に炎の剣を振りかざす大天使ケルビムが威厳に満ちた姿で神々しく描写されており、右側に配されたアダムとイブ(エヴァ)の恐怖と悲痛に満ちた表情と絶妙な感情的対比を示している。



【追放されるアダムとイブの悲痛的な姿】

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